世田谷パブリックシアターで同劇場の芸術監督である白井晃演出の「エウリディケ」を観た。


****** 演劇サイト より *******


音楽家であるオルフェは、エウリディケと愛し合い結婚を約束する。結婚式当日、怪しげな男に見初められてしまったエウリディケは、亡くなった父からの手紙を渡してもらえるという言葉につられ、彼が住むとても高い場所の部屋に行ってしまう。手紙を取り戻し彼の誘惑から逃れたエウリディケだったが、はずみで階段から足を踏みはずし、転び落ちて死んでしまう。死者の国で父親と再会したエウリディケは、父親からの愛によって「忘却の川」で消し去られた様々な記憶やオルフェと愛し合った日々の記憶を取り戻す。
一方、オルフェはエウリディケを探し続け、とうとう地獄の門までたどり着く。自らの歌によってエウリディケを取り戻せる可能性を掴んだオルフェだったが、地下の国の王から「振り返って決して彼女を見てはいけない」という約束をさせられる。そして・・・。

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有名なギリシャ神話のオルフェとエウリディケのエピソードを翻案、現代版にしたサラ・ルールの戯曲「エウリディケ」。

白井晃は2017年にもサラ・ルールの翻案戯曲「オーランドー」を演出しているが、この作家の世界観が、文体が好きなのだろう。

パンフレットに白井が「この詩情あふれる戯曲に胸打たれ、上演の機会があることをずっと願っていました」と言葉を寄せている。

 

そのように思いのこもった作品だけに、この戯曲の繊細な美が全編を通じて舞台上に表されていた。特にラストの人間の宿命の中に「愛」の余韻が残るところは清々しく、また美しかった。

 

主人公のエウリディケを演じた水嶋凛の名前の通り凛とした美しさがこの作品にはうってつけだと感じた。