神奈川芸術劇場で芸術監督長塚圭史氏肝入りの企画、神奈川県にまつわる、そして子供も楽しめる話を県内の数カ所の劇場で巡演するプロジェクトの第二弾「三浦半島の人魚姫」「箱根山の美女と野獣」の2本立て舞台を観劇。

 

第一弾では劇場がある横浜近辺で孫悟空に登場するキャラクターたちが追いかけっこをするという内容だったが、今回はもうちょっと西へと移動して相模原、江ノ島、、そして箱根のあたりを紹介する内容となっている。人魚姫、美女と野獣、、とおとぎ噺風のタイトルがついているが、中身は完全なオリジナルでちょっと倦怠期に差し掛かっている夫婦と神の国の王子に嫁いだ新婚夫婦の、それぞれの愛のはなしとなっている。

 

2022年に上演された第一弾のレビューはこちらから;

 

 

******* 演劇サイト より *********

 

県内巡演プロジェクト第二弾。神奈川県にひっそり棲まうという野獣と人魚の秘密に迫る。
世界の名作が奇想天外に生まれ変わる豪華2本立て!
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『箱根山の美女と野獣』
箱根山神山に棲まう恐ろしいヘビの元へ、人質として送られたカベコ。
ヘビは美しく裕福な天稚彦へと身を転じるも、カベコは目もくれず慎ましやかな生活を願う。
カベコに認めてもらおうと、天稚彦はカベコの家族を招くことを許すが…。

『三浦半島の人魚姫』
相模原市で洋食店を営む幸福な夫婦。
目まぐるしくも踊るような日々の中、妻・瑠璃がいなくなってしまう。夫・厚志は途方に暮れる。
夜の江の島で出会った爬虫類専門の男に、瑠璃は、最近目撃情報が多発している「人魚」を探していると告白する。

 

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第一部の『三浦半島の人魚姫』ではレストランを経営する夫婦(四戸由香と長塚圭史)が神奈川県相模原市近辺で伝わる人魚の日に出るという人魚を目撃するために夜の散歩に出る話。第二部の「箱根山の美女と野獣」は箱根山に棲んでいるイケメンの神、天稚彦=柿崎麻莉子(劇中でオスカルと呼び声がかかって、それに反応している同世代のお姉様方がいて笑えた)に嫁いだ工務店経営の父(片岡正二郎)を持つ三姉妹の一人、欲のない、悟りきったクールなカベコ(菅原永二)が浪費家で世間知らずの神に”生活”を伝授しながら愛についても悟すお話し。

 

神奈川の観光地、名所を散りばめながら、今の世の中に何が必要なのかを問いかけたおはなしはそれ自体が見応えのあるストーリーになっている。湾曲した階段状の道以外には何もない舞台であるがゆえに、かえって柿崎が振り付けを担当したというムーブメントと長塚の笑い多めのセリフが活きてくる。

 

長塚と菅原の俳優陣に加え女性ダンサー二人(四戸と柿崎)を配し、さらにはライブ演奏にトウヤマタケオ、そして俳優・さらにミュージシャン(バイオリン演奏、歌唱など)としても八面六臂の活躍をみせる片岡がいることで多彩なステージが展開され、大いに楽しめた。

 

得に天界の話という設定の「箱根山の美女と野獣」では彼らのフィクション上のキャラクターが、カリカチュア化されたカラフルな衣装を着た(前述のオスカルのように)役者によって大活躍。時に長塚自身も演奏エリアで吹き替えを担当しながら、六人全員のチームワークで会場を多いに笑いの渦に巻き込んでいた。

 

その中でも菅原が演じたカベコの動きと台詞回しによるギャグが秀逸。ぜひ大笑いをしにお子さんをつれてKAATヘ!