夜の予定まで時間があったので、ビートたけし=北野武の最新作、戦国武将たちの首取り=天下取りの内幕を描いた大スペクタクル映画「首」を見ることに。

 

これが、メッチャ面白くて大当たりだった。

 

のっけからバッさバッさと人が切られ、首が飛び、、と驚きの連続なのだが、それを凌駕するインパクトなのがこのチラシで”狂ってやがる”と言われている時の殿様、織田信長(加瀬亮)。やることなすことクスリでもやっているのか?と思うほどのぶっ飛びっぱなしのキャラクター。— 常人を超えた信長を見るだけでもこの映画を見る価値あり!

でもって、その殿様の周りの武将たち、本能寺の変が全体のキーとなる出来事なので、羽柴秀吉(たけし)、明智光秀(西島秀俊)、徳川家康(小林薫)らはもちろん、彼らの周りで暗躍する、忖度する人たち千利休(岸辺一徳)、曽呂利新左衛門(木村祐一)、荒木村重(遠藤憲一)、黒田官兵衛(浅野忠信)、羽柴秀長(大森奈朋)、そして架空の人物で秀吉の軍に加わった百姓の難波茂助(中村獅童)、、、他にも荒川良々、六平直政、桐谷健太、寛一郎、、、と全てのキャストの人物像が見事に表され歴史ドラマというよりは人間ドラマとして大変面白くできている。

 

中でも、武士というプライドの看板を重要視している武将たちの横でみんなから”サル”と蔑まれながらも心の内ではそんな侍根性をばかばかしいと思って、虎視眈々とその時をまっている秀吉を演じた御大ビートたけしの力の抜けた人間味溢れる会話、等身大の人間像、弟の秀長や官兵衛と交わすジョークが秀逸!!

大河ドラマではなかなか見ることのできないリアルな「人」がそこにある。

 

この笑いというのが随所に盛り込まれていて、影武者たちの扱われ方をコントさながらに描いたシーン、家康の女性の好みをおちょくったシーンなど、、血みどろの量と同じくらいに笑える映画になっている。

 

長年映画を撮り続けてきた世界のたけしだけあって、これだけの人がたけしのもとに集まってきた(俳優もスタッフも、そしてエキストラも)というのがこの作品の勝利の源だろう。

 

人間ドラマの背景となる映像—侍たちの決戦にむかう行脚、そして大群同士の合戦シーンなど —はもちろん壮大なスケールで描かれているのでこれこそ小さなタブレットではなく映画館でお楽しみいただきたい。

 

Oretatino