座・高円寺で”明後日の方向”という劇団?—演劇サークルと自らを説明している—の斎藤憐作「赤目」を観た。

演出は黒澤世莉。

 

今回は2本立て公演で、このチラシにあるように日替わりの2本立ての上演で、

斎藤憐「赤目」と福田義之「長い墓標の列」の2作品を上演している。

 

劇場の真ん中に裸の木を組んだ四角い演技スペースを設け周り四方に観客席を設置(この美術はもう一本の「長い墓標の列」でも同様のようだ)、劇が始まる前の客入れの時には稽古着(Tシャツにトレパン)の役者たちがその四角い舞台に集まってきて柔軟体操、発声練習などの準備作業を行なっている。

 

開幕すると、そのラフな格好の役者たちが四角い舞台の脇で待機しながら次々と舞台に上がり、最小限の小道具を使いながらストーリーを展開していく。時に役にあわせた若干の衣装、羽織ものが足されるが、基本的には普段着、または稽古着に近い格好で演じていく。(当日パンフのスタッフ欄には衣装:とわづくり株式会社とある)

 

このようなシンプルなお金をあまりかけないスタイルはどんな意図によるものなのか、まずはこの劇団—サークル?のことを知ろうと思い、彼らのHPを開いてみた。

 

そうすると、思いがけない文面が。。

 

 

 

****** 劇団HP より ********

 

演劇が、一人ひとりに自由と豊かさをもたらす世界を目指します。
だれでも続けられる演劇活動のための、公演を目的としない演劇サークルです。
演劇を楽しむために、一人ひとりが主体的に関わる演劇サークルです。

 

活動内容として

 

*様々な事情で、演劇を続けたいのに続けられないひとが、演劇活動を続けられる場所をつくります。

*どこにいても/だれでも活動できます、選択肢を持てます/取り戻せます。

*「公演のための作業」から、演劇を自由にします。

 

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通常の演劇ビジネスとは違った演劇の実践を目的とした集団で、演劇作りをしたい人が公演(興行)を目的としないで、各々が参加可能な時に集まり、演劇作りを続けていく、ということらしい。

 

今回はそんな彼らの成果発表であると同時に、このような演劇の関わり方はどうでしょう?ということの提案、告知の場を新春企画として座・高円寺がパブリックに示したということなのだと理解した。

 

白土三平がモデルとなっている漫画家の現実の生活と、創作時代劇のものがたりの世界との棲み分けがちょっとぼやけてはっきりしない、それがゆえにその二重構造の意義があまり活かされない、、さらには途中に表現方法として繰り返し挿入されるムーブメントが時に苦し紛れの”逃げ”のように見えてしまう、、などの問題があるのは事実だが、ライブの音楽演奏、劇場を自由に使っての表現などには、これからの可能性を感じた。