よみうり大手町ホールで1995年初演の(オフ)ブロードウェイ・ミュージカル「ジョン&ジェン John & Jen」を観た。

 

Andrew Lippa(音楽)とTom Greenwald(詞)共著による作品で、ジョン(弟/息子)とジェン(姉/母)という肉親の間柄の男女の近い関係を描いている。

 

両役ともWキャストとなっており、筆者が観た日はこのチラシにある配役、ジェン—新妻聖子、ジョン—森崎ウィンのキャストの日を観劇した。

*ちなみに他の二人は田代万里生と濱田めぐみ。

 

演出は英国在住で英国、日本両国で活躍する市川洋二郎が担っている。

 

***** 演劇サイト より あらすじ *******

【第一幕】
1985年、六歳の少女ジェンの家に、ジョンが生まれる。弟を温かく歓迎するジェンは、暴力を振るう父親から守り抜くことを誓い、ふたりは支え合いながら成長する。
やがて10代になったふたりの関係は少しギクシャクし始めるが、ジェンが大学進学のため家を出る時になると、ジョンは姉を引き留めようとする。しかし、自由を望むジェンは、振り払うように出ていってしまう。
NYに出てきたジェンは、刺激的な環境で生活を始める。一方で、ジョンは父親の影響を受け始める。やがて、同時多発テロが発生。それは、イラク戦争勃発の引き金となり、ふたりの人生をも大きく変えてしまうことになるのだった。
【第二幕】
時は流れ、2005年、ジェンは恋人ジェイソンとの間に息子を授かり、弟にちなんでジョンと名付ける。弟の面影を重ねながら、手塩を掛けて息子の世話をするジェンだが、当の本人は過保護な母親を少し疎ましく思うのだった。
ジェイソンとの別れや父親との確執など、様々な問題を抱えながらも母親として必死に頑張るジェン。一方で、母の期待とは裏腹に叔父のジョンとはまるで違った人間へと成長していく少年ジョン。
やがてジョンが大学への進学のために家を出ると決めた時、母子それぞれが、自らが抱える人生の問題と直面することになる。

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俳優は舞台両側にそれぞれのワードローブ、小道具置き場があり、そこでシーンにあわせて身支度をととのえて登場。舞台中心の演技部分でジョンとジェンの日々を年代を追って紹介していくスタイルになっている。

よみうり大手町ホールのこじんまりとした舞台にはこの演出が有効だ。

 

今回の四人の俳優たち、ミュージカル界では超お馴染みの顔ぶれとあって、歌唱の部分ではまったく遜色ないと思われる。

実際、私が観たキャスティング(毎日違った男女の組み合わせで演じられる)新妻と森崎も素晴らしい歌声を披露していた。

とくに、新妻の伸びのある歌声と語りかけるような歌の表現力は見事。

 

しかしながら、問題はこのアメリカ人家族を描いた戯曲にあり、「なんでこんな、どうってことない家族アルバム芝居」を観ているのか???という気持ちになった。

 

兄弟、親子の関わり合いの話なのだが、エピソードにその関係性の変化をもたらすような理由が十分に書かれていないため、主人公たちの気持ちに十分に入っていけない。。やもすると、単なるわがままな若いアメリカ人女性の独りよがりな人生エピソードにしか聞こえない。なので、それで???となってしまうのだ。

 

ジョークもエンタメ的仕掛けも必要だとは思うけど、まずは話の核となる部分をしっかりと表現し、伝えてほしかった。

 

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