恵比寿エコー劇場で日本の演劇人を育てるプロジェクト、戯曲賞2022最優秀賞受賞作品、竹田モモコ著「他人」を観た。

演出は南河内万歳一座座長、劇作家・演出家の内藤裕敬。

竹田モモコ氏は2018年から高知県土佐清水市の方言幡多弁を使った芝居(今作では母のはつ江が幡多弁で話している)を上演するユニット「ぱぷれるりぐる」を主宰し、すでにいくつかの戯曲賞を受賞しているという期待の星。

 

***** 演劇サイト より ********

どうも私たちは話しすぎたみたい。

わたしはデザイナーをしながら、小さなアパートで慎ましくも幸せな同棲生活をおくっていた。ところが恋人の入院によって、その生活は一変する。恋人の母(はつ江)が通院のためにしばらくこのアパートに滞在するという。その場に偶然居合わせた元カノ(結海)も、面白がって出入りを始める。ここでは親でもなく、子でもない私たち。普段交わることのない3人は、それぞれ「秘密」の交換をはじめるが……。

恋人の母と元恋人と、わたしの奇妙な3人生活が始まった。

*************

 

最優秀賞受賞が納得というセリフのセンスが光る傑作戯曲。でもって女性三人のキャスティング(母ー原日出子、アパートの住人なつ—平松美紅、なつの友人結海—畑中咲菜)もピッタリはまって大いに満足した舞台だった。

こちらも週末3日間のみ、ということでもったいない。。。どこかで早めの再演を望む。

 

一緒に生活し、お互いの考えをじっくりと聞くうちにジェネレーションギャップがギャップではなく、どんどん埋められてきて、最後には垣根なしの本音でわかりあえる関係になるという流れなのだが、そこに偽善的なおしつけや無理な展開はなく、とても自然に関係性が築かれていくところがとても好感が持てる。大きな部分としてはつ枝の新しいことに対しての素直な受け止め方というのがあるのだと感じた。そしてそんなはつ枝を演じている原日出子のおっとりとしていながらどっしりと構えたキャラクターがそれを成しているのだろうと受け取った。

 

上記のあらすじにもあるように、親に隠れて同棲をしているのが同性(女性)同士というのが、よくある恋愛ドラマとはちょっとちがったところなのだが、そこの部分に関してがいたって自然なこととして描かれているのがとても良い。

そこに特別に比重を傾けるのではなく、良くも悪くもよくある若者同士の恋愛の一コマとして、人生の一シーンとして扱っているところがリアルの度合いを高めている。

一方で、そんなカップルではあるものの、彼女らが社会で受ける逆風に関してもリアルに対面していることもきちんと書かれていて、その点でもしっかりと抜け目がない。

 

若い女性二人(平松美紅、畑中咲菜)のキャスティングもお見事!としか言いようがなく、とくになつを演じた平松のさわやかなかっこよさがこの(女性に)モテモテの女性の役にピッタリだ。

 

最後のオチも決まり、ウェルメイドというのはこういう劇作のことを指すのだろう、、とつくづく受賞に納得した作品だった。

 

kinarina