三鷹市芸術文化センターでめずらしい日曜日のソワレ(夜公演)をやっていたので、三鷹へ移動して城山羊の会の新作「萎れた花の弁明」を観た。

 

2015年「トロワグロ」で岸田戯曲賞を受賞した山内ケンジが作・演出を担当している演劇プロデュースユニットで常連の役者さんはいるものの劇団員ではなく、毎回違った座組みで、他の公演ではなかなか観ることのできない大人の事情を描いて好評を博している。

 

チラシにある”萎れた花”のイラストを見てもらえれば、元気な(男性の)花と、どうにも思い通りに元気になってくれない花のお話だということは山内の劇を観たことのある人ならば想像がつくだろう。

 

このところその男と女が出会うと、何もないところからも性がからみついきて逃れられなくなる、、そんな人の根源にある生理的なややこしさー不条理を描いた作風から離れかけた感もあったのだが、コロナが一定度落ち着いた今だからなのか、城山羊の会の真骨頂とも言えるそのどうしてもそちらへ行っちゃうのよね〜、という男と女のベッドでの話、女好きの男たちのトホホ。。な話全開でかなり面白く観た。

 

そんなダメンズたちの言い訳に使われる”様々なところで律儀で真面目なのに、実は性欲大国の日本”というのも冗談ではなく、きちんと国の状態=少子化、宗教への傾倒、身近にある多額の金銭が絡んだ性ビジネス、それについてくる犯罪 などなどの今の社会問題へと繋がっている。

 

とはいえ、あくまでも作風のタッチは不条理で軽く、突然の場面、ストーリーの転換で観客を煙に巻いて、さらに奥へ奥へと突き進んでいく。

 

敬虔なクリスチャンであるさえないデリヘル嬢も、彼女によばれた小声の救世主も、周りの人の声にノリにノリまくって嘘を重ねるサラリーマンも、しっかり者に見えて実は弱っている公務員も、、みんな変なのだが、良い人たちで魅力的。

 

三鷹市芸術文化センターの副主幹森元さんを巻き込んでのスタートから、そのセンター職員という役をナチュラルに受け継ぐ岡部ひろきの見事さ、そしていつも通りスルッとパXツを脱いでしまう岩谷健司の名人演技。

 

やっぱりこの世は愛すべき変な人たちで満ちている、ということを確認したハートウォーミング(!?)な日曜ソワレ観劇だった。