世田谷パブリックシアターのシアタートラムで人気作家・演出家横山拓也率いるiakuの新作「モモンバのくくり罠」を観た。

 

******** 演劇サイト より *********

 

山中に住居を構えたある夫婦。猟期には、くくり罠で鹿や猪を捕獲、小さな畑で野菜もつくり、出来るかぎりの自給自足生活を目指した。娘は、幼い頃から当たり前に山で暮らしてきたが、徐々にこの生活に違和感をもち、また、周囲から「モモンバ」と呼ばれる母のことも嫌で、ついには山を降りて一人で生きていくことを選んだ。
iakuの最新作は、親が形成した「家族価値」と、そこに縛られた子の生き方を見つめる。

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系統としては再演もしている母娘のすれ違い、諍いを描いた2019年初演(2022年再演)の「あつい胸さわぎ」だろうか。

 

動物を解体処理して自給自足生活の目指す母親(枝元萌)、その夫(永滝元太郎)は当初は出稼ぎ目的で山をおりたが、今は生理的に自給自足スタイルが受け付けないようで、人里の市街でバーを始め、そこで雇った美人ママに熱をあげ、かってに第二の人生という夢を託しているようだ。

そんな二人の一人娘椛—もみじ(祷キララ)は山と里のあいだでどちらが、と決めかねている。人目が気になり、普通とは違う山での生活を肯定できない。

 

作品の中でも登場人物がもらしているように、娘の葛藤の真意が今ひとつ伝わらなかったが(ただうまくいかない状況に苛立っているだけ、のように感じた)、他のレビューでも多くが指摘しているように漫才のような掛け合い—得に第三者である若者(八頭司悠友)の歯に衣着せぬツッコミ、それに応える地元の隣人(緒方晋)の矢のような返し、そして美人雇われママ(橋爪未萠里)のこれまた超ドライな発言— が面白くて、最後まで一気に観終わった。

 

親の過干渉、または過干渉ならずとも環境から親にかなりの影響を受けた子供たち(例えば、宗教にのめり込んでいる親の家の子供とか)が抱える困惑、自立への目覚め、、といったことなのだろうか??

今作の母親(「あつい胸さわぎ」同様に枝元萌が好演)はくくり罠という銃などで殺さず、ワイヤーで動物の足をくくり捕獲する罠の方法で鹿や猪などをしとめているのだが、それが娘をじんわりと支配しているという比喩なのだろうか???

 

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終演後に横山と緒方のアフタートークが行われたのだが、緒方は実際に長野の山奥の古民家に移住して(舞台セットはその家を参考にしているとのこと)、東京との二拠点生活をしているとのこと。

 

舞台上で展開する母親と近所のもと猟師との助け合い、そして動物との共存などは実体験から、とのことだった。

 

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