****** 演劇サイト より ******

才能が出会いさえすれば、面白いものができるのを私は知っている。
これは芸術監督・野田秀樹が2018年の東京演劇道場メンバー募集時に掲げた言葉の一つ。
この言葉の実現を目指すべく、8つの企画を立ち上げて、試作発表をします。
小さいものが大きいものになるかもしれない過程にご注目ください。

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野田秀樹が芸術監督を務める池袋の東京芸術劇場(TMET)のプロジェクト、若手演劇人たちのための試作の場Dojoの発表会「Dojo WIP(ワーク・イン・プログレス=制作進行中」をTMETシアターイーストで観た。

ステージに立っている人の役者仲間なども多く観に来ていたのだろう、会場は若者たちで溢れていた。

 

***** DOJOについて 東京芸術劇場HP より

芸術監督・野田秀樹が立ち上げた
「次世代の役者・芝居人のための修行の場」

 

東京演劇道場は、芸術監督・野田秀樹の“「芝居人」の出会える「道場」を創りたい”という思いの下で生まれた舞台役者が集う修行の場です。
野田を始め、東京芸術劇場に集う国内外のアーティストたちの舞台創作の技と志に触れ、芝居人同士が互いに刺激を受け合う場を提供しています。在籍するのは過去2回のオーディションで選ばれた俳優たちです。野田に加えて海外から演出家・俳優のリロ・バウアー、エリック・マレット、ダンサー・振付家の井手茂太と黒田育世、劇作家・演出家の柴幸男らを講師に迎えてのワークショップや、海外秀作舞台などの動画勉強会、有志メンバーの自主練習などを実施。2020年の夏には、東京演劇道場としての最初の公演『赤鬼』が4つのバージョンが上演されました。さらに2022年の冬には柴幸男を演出家に迎え『わが町』を上演しました。

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すでに始められ継続している新国立劇場、座・高円寺などの数年間しっかりと学ぶ俳優育成コースに続いて、近年ではこの東京芸術劇場、そしてシアターコクーンなども若手の演劇人のためのプロジェクトを始動させている。

 

この東京芸術劇場のDojoプロジェクトに関して言うと、新国立劇場や座・高円寺がまだ舞台経験があまりないもしくは全くない、がプロの俳優を目指している若者(応募規定では30際以下)を対象に基礎から育成するのに対し、こちらは演劇、またはダンスを初めてはいるものの若手であるがゆえに大きな場での舞台経験がまだあまりないような人々たちが対象になっていて(オーディションで選ばれた人たち)、このDojoの場のほかに自分達で公演をうっている人たちだ。

 

なので、メンバーの中には著名な演劇人が、、例えば石村みか、葛たか喜代、高畑裕太、深井順子、益山寛司、茂手木桜子、李そじん、、などなど、、サヘル・ローズの名前まである。

 

普段出会う機会のない(同時代の)人たちに出会いの場を与える、という狙いは有意義だと思う。このDojoという場から新しいユニット、共同での制作、情報交換などが行われれば世界が広がっていくだろう。

 

今回はそんな多彩な演劇人たちが自分達で企画、制作した8つの小作品の上演で、朗読、ダンス、演劇、新しい演劇の試み—例えばジブリッシュと言うある言語ではなく、意味のない言葉を発音する作品など—、小(演劇)作品などバラエティに富んだラインナップを組んでいる。

 

それぞれに15分〜くらいの作品群なのだが、Dojo内での発表会ではなくわざわざ試作品を商業的に上演することにどれほどの意味があるのか?と思わないでもなかった。

 

8作品、途中休憩が2回入っての2時間半ぐらいの舞台だったのだが、最後に多田淳之介の演劇史に残る傑作「再生」をもってきたのは上手い、というかズルい。

 

この絶対的な完成度を持つ作品がトリに来ることで、全体の印象がかなりアップしたと思う。

 

どうせなら、フルバージョン、もしくはフルバージョンプラスぐらいで「再生」をとことん見せてくれてもよかったかも。