よみうり大手町ホールで新作ミュージカル(脚本・作詞:高橋亜子、演出:鈴木裕美、音楽:清塚信也)「アンドレ・デジール最後の作品」を観た。

 

******** 演劇サイト より ********

 

20世紀初頭に不慮の死を遂げた大画家アンドレ・デジール。*架空の人物

共にデジールを信奉していたエミールとジャンは、運命に導かれるように出会い、二人で一緒に絵を描くようになる。二人の魂は共鳴し合い、一人では到達できない芸術の高みへ登っていくことができた。
だがその絵の素晴らしさゆえに二人は巧妙な贋作ビジネスに巻き込まれる。アンドレ・デジールが不慮の事故死の直前に描いたであろう「最後の作品」。それは事故で燃えてしまっており、絵画ファンの間で永遠の幻とされていた。その「最後の作品」を描くように依頼されたのだ。

アンドレ・デジールの「最後の作品」を巡り、別の時代に生きるデジールとエミールの人生が交差した時、思いも寄らない愛と真実が浮かび上がる。そしてエミールとジャンの関係は大きく変わっていく――。

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音楽は耳に残る曲があるものの、全体的に古さを感じる、定番の域を超えない良くも悪くも優等生のミュージカルという印象。

ミステリー仕立てであるものの、その謎自体にも興味を持続させるような吸引力が乏しい。

 

群雄割拠のミュージカル戦国時代にあって、数ある候補の中からチケットを買ってもらう、、選んでもらえるようにするには何らかの面での”新しさ”が必要不可欠になってくるのだと思うが、想定内ではその線でのパンチに欠ける。

背面の大きな格子窓に映し出される映像によって一瞬にしてシーンを変える、乗嶺雅寛の美術は見事だった。

 

物語の一つの主線であるジャンとエミール、二人の男性の関係をもう少し前面に押し出し、はっきりとみせた方がストーリーに強度が増したかも。

 

小柳友のミュージカル初挑戦ということだったが、やはりそこのちょっとした歌声のふらつきが気になった。

小柳の舞台俳優としての存在感は貴重だと思うので、ぜひまたミュージカルにも出てもらいたいと願ってはいるのだが。