木ノ下歌舞伎(aka キノカブ)の代表作の一つ、杉原邦生演出「勧進帳」を東京芸術劇場シアターイーストで観た。

 

2018年に神奈川芸術劇場(KAAT)で上演された舞台を観ていて、今回が2度目。

 

前回と観ている席の舞台まで角度が違うからか、そもそも観ている側が違ったからか(対面式の座席構造でその真ん中に横幅いっぱいのランウェイのような舞台がある)若干の違った印象があるものの、やはりメリハリのきいた名作であることは間違いなかった。

 

やはりコンテンポラリー歌舞伎ということで、今の演劇に必要なモノー>コンビニで大量のお菓子を調達し、宴会に持参家来たちがそれぞれにツッコミを入れながらマウントを取り合う、、など身近なネタでの笑い、そしてダンス系の音楽とラップ、と若い観客層が積極的に楽しめる要素が詰まっている。

 

そこにプラスアルファで古典の要素を、長唄や下座音楽を役者が声で演奏したり、とそこもしっかりとコンテンポラリーの精査を施して取り入れているところが、現代風古典の分野でもキノカブが特出している理由だろう。

 

今回は義経の家来と、富樫の部下である番卒たちという敵と味方双方それぞれで(二役)演じる家来たちの変わり身、往来を面白く観た。その中で古典と現代をきっちりとつなげる役割もおっている弁慶=リー5世のゆるぎない存在が光る。