新宿シアタートップスで俳優小沢道成(鴻上尚史主の「虚構の劇団」主要メンバーだったとのこと)が主宰するEPOCH MANの最新作「我ら宇宙の塵」を観た。

 

チラシにあるパペット(人形)劇という謳い文句にずっと心惹かれ(無条件で「人形」好きなもので、、、NTの「War Horse」や「Life of Pi」、そしてコンドルズの舞台の定番シーンの人形劇まで、どれもワクワクする。これからパペット(使い)劇がもっともっと出てくることを望む!!)チケットをゲット。

 

このチラシにある小学生の男の子(小沢が人形遣いで動かしている)が突然負った心のダメージ、幼くして直面してしまったメメント・モリを想像するということの難しさと戸惑いを描いている。

その少年の深い心理的迷走ゆえの行動=突然の失踪を理解できない大人たち、母親(池谷のぶえ)と母親が息子を探す間に出会った人々たちが自分達のメメント・モリと重ね合わせながら探っていくストーリーとなっている。

 

シアタートップス— この劇場が再開したのは本当にありがたい— の狭い舞台の三面がぐるりとプロジェクションを映すスクリーンとなっていて、少年が亡き父を思うイメージとなっている宇宙の世界、数多の星が瞬く夜空、惑星の光と高速の星の動きが次々と変化しながら映し出される。

途中、ぎたろーが演じるプラネタリウムの主人が少年と駆けつけた大人たちに見せるプラネタリウムの星座のシーンでは、その場でそれぞれが想像する「私が見る星座」など描かれていき、幼い日に渋谷のプラネタリウムで頭上を見上げたあの日が思い出される。

 

かなりテンパっている看護婦(異儀田夏葉)や渡邊りょう演じる愛犬を亡くしてひどく落ち込んでいる青年など、周りの大人たちがかなりカリカチュア化されていて、彼らが終始無言の少年よりもはるかに童心にもどっているのが、少年の気持ちをちゃんと尊重していて良い。

 

そんな中でもこの劇の中心人物である少年の気持ちが掴みきれなくて不安になっている母親を演じた池谷のぶえの凄さがこの舞台をリアルに成立させていたことは確かで、彼女のセリフは彼女が発する声の音程なのか?なぜだかスッと耳に入ってくる(これはいつもそう)。観ながらジュディ・デンチみたいな女優さんだな〜などと感心した。

 

あの狭さだからこそ、効果が発揮された、素敵なある夏のメメント・モリの舞台。

 

パペットの少年、星太郎(しょうたろう)くんがカーテンコールの最後の瞬間まで、ちゃんと演じていたのが忘れられない。

 

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