新国立劇場ピット(小劇場)で故武井博氏の児童書「モグラが三千あつまって」を長塚圭史の演出で舞台化、振り付けを近藤良平が担当している夏休みの子供たちウェルカムプログラムを観た。

 

******** 演劇サイト より ************

南の海に浮かぶ三つの島。
北の島に住むモグラ族は自分たちで食べ物をつくることに成功したが、西の島に住むネコ族、東の島に住むイヌ族は毎年モグラ族からタロイモを盗んでいた。
いつまでも負けてばかりはいられないモグラ族は知恵もののマチェックと度胸のあるバンゲラ親分を中心に、戦いに備えて大きな地下都市をつくり始める。
ある日、やきいも隊長に率いられたイヌ族が攻め込んでくるが、モグラ族は知恵をふりしぼって見事にイヌ族を追い払う事に成功する。
しかし、勝利に酔いしれ、すっかり眠り込んでいたモグラたちの島へ、今度はガンペッタ王率いるネコ族がタロイモを盗みに攻め込んでくる......。

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小劇場スペースの真ん中にアイランドスタイルの舞台ー>モグラたちがタライモを耕している島が鎮座している。その地下の部分に隠れることができる小さな山の周りを囲む形で客席がつくられていて、役者4人は山の四隅方向にある通路から、そして時に客席の通路を通って中心の舞台に出入りをする。

 

撮影: 引地信彦

左から:富山えり子、小日向星一、吉田美月喜、栗原類

 

この4箇所の出入り口、そして小山の下の部分を入っては出て、また消えては現れて、、とあわただしく役者たちは走り回る。。。と言うのも彼らはモグラの役だけでなく、ネコ族、イヌ族、、イヌ族のなかのダックスフンドの軍隊、、と一人何役も、シーンの状況によっては同じモグラ族の違う役の声だけを担当したり、、と1時間40分の上演のなかで休む暇なく「何か」をしているのだ。

 

時に舞台上でモグラから猫のガンペッタ王(小日向)に早変わりしたり、こちらにいたと思った栗原類が反対側で違う役で現れたり、、その一瞬で変わる様子を見るのも楽しい。

 

劇場全体の壁に動物国のイラストが描かれ、ネコ軍とイヌ軍のイラストが描かれたかわいらしい軍旗がはためているのも嬉しい(美術:木津潤平)。

連休の昼間ということもあり、会場には多くのちびっ子たちの姿が。目の前に突然現れるモグラやネコ、イヌに扮した役者たちにキャッキャと声をあげていた。

 

幼い子供たちにはほんのちょっと尺が長かったようで、最後の20分ぐらいに退席している人も数人いたので、もう少し短く。。1時間強ぐらいにできればそれが理想なのだろう。一方で、終演後に舞台に近づいて興味深げにセットを覗いている子たちもいた。

 

セットも衣装も見た目可愛らしくて、また役者とのちょっとしたふれあいもあり、歌もあり、、と楽しさにあふれた舞台だった。

 

それにしても舞台役者 栗原類 は毎回素晴らしい!

次はどんな違った役(顔)を見せてくれるのか、毎回楽しみだ。