青山のスパイラルホールで大竹しのぶの一人芝居「ヴィクトリア」を観た。

 

********** 演劇サイト より **********

 

「ベッドから出たくない…」
ある朝、ヴィクトリアは呟いた。
そして、彼女はとめどなく語り続ける。
その独白が導くのは色あせた夢への執着なのか、
真実への旅路なのか。現実なのか、空想なのか。
演劇人としても名高い映画界の巨匠イングマール・ベルイマン。
本作は、当初、ベルイマンが映画用の脚本として書き下ろしながら、
後に、ラジオドラマとして発表した異色の一人芝居である。
ベルイマンが執拗なほどに追求した主人公ヴィクトリアの魂の独白が、
今、大竹しのぶと気鋭の演出家・藤田俊太郎の手に委ねられた!

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大竹しのぶの一人芝居、という作品の需要を十分に満たすキャパではない小スペースでの7公演のみ(東京エリア)。。。ゆえにチケット争奪戦となった今作。

 

2002年、野田秀樹作・演出の大竹による一人芝居、高村光太郎の妻智恵子の一生を描いた「売り言葉」もここスパイラルホールだった(2週間半の公演だったので、こちらは目撃した幸せ者も多かったのではないだろうか)。数ある出演舞台の中でもこの「売り言葉」は大竹しのぶの代表作だと信じている。彼女だから表現することができたある一途な女の表情、演技の連続だったと記憶している。

 

その後、ソロのトークイベントでスパイラルのスペースに立つ大竹さんを拝見したりもしたが、今回の「ヴィクトリア」を観て、この空間、広さだと一人の人間がパフォーマンスによって会場の隅から隅まで、その一人一人まで思いを伝えることが可能なのだな、と実感した。

 

150席強ぐらいだろうか??300の眼が舞台上の大竹さんの一挙手一投足を見逃すまい、と1時間10分間集中し続けていたのを肌で感じ、この眼で確認した。

 

「売り言葉」の智恵子とはちがって、ヨーロッパのおそらく上流階級の女性の話だったので、その立場、状況についてかなり想像を膨らませなくてはならないエピソードも入っていたが、そこをdesperateな(ぎりぎり崖っぷち状態の)中年女性の告白としてリアルに成立させていたのはさすが。

 

憑依型女優と称されることも多い大竹さんだが、演技は憑依といった心霊的なものではなく積み上げてきた確かなテクニック・経験によるものだということは、カーテンコールで別人となってにこやかに現れた彼女を見れば一目瞭然。


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