日本の会社内(間)の競争、サラリーマン(ウーマン)社会、政治の世界の出来事などを描いた芝居を得意としている中村ノブアキ率いる劇団JACROWの3作品日替わり上演企画「#33経済3篇」の一つ「焔」を新宿シアタートップスで観た。

 

“経済”と書いて“せんそう”と読む というチラシの文句に惹きつけられた人も多いのでは?

 

******* 演劇サイト より 作品紹介 *******

過去に上演した『ざくろのような』、『焔~ほむら~』に、短編『つながるような』を加え、“経済戦争”というテーマで括る3作同時公演。3作を通して「会社とは」「働くとは」を問いかける。経済は国家間の戦争でもある。だからこれは企業戦士たちの物語。

 

『焔~ほむら~』(初演2018年)
劇作家協会新人戯曲賞最終候補
上演時間:約1時間55分
あらすじ:イチバ自動車は、電気自動車「アイレ」の開発に社運を賭けていた。グローバルで激化する開発競争を背景に、今より性能を上げたバッテリー開発を下請けであるカワマツエナジーに依頼する。厳しい要求を受けたカワマツ真野はある判断をするのだった・・・
出演:小平伸一郎 狩野和馬 宮越麻里杏 谷仲恵輔 芦原健介 江口逢 佐藤貴也(以上JACROW) 堤千穂(演劇ユニット鵺的) 菅野貴夫 津田修平

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日本人ってやっぱり人生の大半の時間を過ごす会社というものがが好きなのね〜〜、と実感するような観劇体験だった。

 

まずもって、「“経済”と書いて“せんそう”と読む」って、、、そんな物騒なことを言っているから、なかなか経済ではないところの大局からの視線が持てないのかな、と。

 

自分が会社員だった頃に日々話ていた昼休みの会話、みたいなものが満載でデジャヴュの感覚が。おそらく全編を通してそんな気持ちになった観客からだろう、ところどころで「あ、それ会社あるある。。」のような高笑いが響いていた。

 

クライマックスで「会社を取るか=会社のためと考えられる人間になれるか、それとも自分に正直に生きて=会社を辞めるか」といった選択を迫られる瞬間が来るのだが、、まず最初にデータの改竄をしたら、その開発の仕事をしている意味からして全否定していることになりませんか??ということ。

大人の決断とかほざく前に、一社員としてその仕事に従事している根本的な仕事の役割について考え直した方が良いと思う。

 

ありがちなエリート女性社員の描写とか、事なかれ主義のサラリーマンと熱血人情派サラリーマンの対比とか、分かっていても面白く観られてしまい、なんだかんだ言っても平日の夜に新宿の小劇場で観る芝居としてはうってつけ、と言えるのかもしれない。