明治座で中川晃教主演のミュージカル「チェーザレ」を観た。

 

もともと歌舞伎や新派の舞台を主に上演してきたという歴史のある明治座だけに、劇場の作りは歌舞伎の劇場の様式にならっていて、お土産屋さん、そして幕間に食べるためのお弁当屋さん、喫茶店などが活気のある呼び声でお客様を出迎えている。コロナが猛威をふるっていた頃はそんな部門も全部クローズしていたのだろうな、と思うと、コロナがおさまってきて本当に良かったなと感じる。

 

原作:惣領冬実『チェーザレ 破壊の創造者』(講談社「モーニング」所載) 原作監修:原 基晶
脚本・作詞:荻田浩一 演出:小山ゆうな 

 

ということで、超人気漫画からのオリジナルの舞台化(2.5次元)というミュージカル。

 

******演劇サイトより  あらすじ **********

ルネッサンスの夜明け― 男は中世を破壊した。
争いに向かおうとする不穏な時代に、
全ヨーロッパ統一という野望を抱いた男の戦いの物語。

1475年、ローマ。ボルジア家の領袖ロドリーゴは、結婚を許されないヴァチカンの枢機卿という身分でありながら、一人の男児を授かる。その子の名はチェーザレ・ボルジア。「罪の子」と呼ばれながら煌めく才智と美貌を備え、政争渦巻くヨーロッパの統一を夢見て歴史にその名を残した男の誕生であった。
1491年、16歳になったチェーザレは、ピサのサピエンツァ大学に在籍していた。学内ではメディチ家のジョヴァンニが率いるフィオレンティーナ団、好戦的なフランス団、そして、チェーザレ率いるスペイン団など、学生達が出身地毎に牽制し合っている。それは、実際にイタリア半島で覇権を争う諸国の王侯貴族達を見るようでもあった。
その頃、ヴァチカンでは教皇インノケンティウス8世崩御の時が迫り、次期教皇選を睨んだ派閥争いが繰り広げられていた。キリスト教の最高位である教皇の座を巡り、激しく争うロドリーゴと宿敵ジュリアーノ・デッラ・ローヴェレ。チェーザレは、父を教皇の座に着かせるため、そして、その先にある自らの理想を実現するために頭脳戦に身を投じていく。
まずは選挙の鍵を握るピサの大司教ラファエーレ・リアーリオを籠絡すること。さらには、選挙権を持つ枢機卿の座を約束されているジョヴァンニの票を得るため、メディチ家との絆を深めることを画策するのだった。
それぞれの思惑が交錯する中、果たしてチェーザレは知と力の戦いに打ち勝つことはできるのか。

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今のところ13巻まで出ているイタリア史を題材にした漫画の舞台化で、おそらくその漫画の方は少女漫画特有の華麗な画質と相待って異国情緒あふれる世界を見事に再現、壮大なイタリアの歴史の世界が展開していて高い人気があるのだと想像する。

 

明治座で初めてのオーケストラピットでの生演奏付きということからも、これからこのようなオリジナルミュージカルに力を注いでいくのだろうなとその本気度が見て取れる。

 

宝塚ばりの大階段がドンと真ん中に設置されているところで、当時の衣装に身を包んだイタリアの大学に通うエリートたちの覇権争いが繰り広げられる。ちなみに、最近ミュージカルで多用されている仕掛けで大階段は時に回舞台で回転し、シーンによって石の回廊とそこから降りる階段という景色に様変わりする。

 

原作はまだ続いている状態、ということで、こちらのミュージカルも続編、あるいはPart2などが作られるのではないかと思われるような、作品の流れとしての起伏が、ドラマチック性にちょっと欠ける感が残ったのは残念、、なのか、それとも次への布石なのか。

 

若いチェーザレ・ボルジアを演じた中川晃教は間違いなく主役の風格なのだが、彼の予想外の姿、意外な面なども見られたら、また面白かったかもしれない。