西武新宿線、新井薬師前駅から歩いて5分、スタジオライフの本拠地ウェストエンドスタジオで河内大和率いるG.Garage///の「Richard II」を観た。

 

2013年に河内が中心となって立ち上がったカンパニーで、彼の演出で主にシェイクスピア作品を上演していくという。ちなみに今作の前は今年1月に「Richard III」を上演したそうだが、こちらは見逃した。

 

河内大和、そして今回も出演している真以美さんのシェイクスピア劇と言えばこれまでは木村龍之介率いる「カクシンハン」で色々と観てきたのだが、、、もうカクシンハンの舞台には出ないのだろうか???

(ちなみに本公演の少し前にカクシンハンの舞台「シン・タイタス」を観に行く予定だったのだが、そちらは公演が中止になってしまった)

 

それともカクシンハンにも参加するのだろうか???? ちょっとその辺の事情が掴めておらず、もしご存知の方がいたら教えてほしい。

 

さて、、舞台の方に戻ると、、エドワード黒太子の直系長男であるリチャード2世(河内)はその血筋により王冠を戴くが政治的な手腕に乏しく、派手好きで専制的な彼に対して臣民からの不満が高まっていた。そんな折、彼の優柔不断な決断から国外追放の命を受けたヘンリー・ボリングブルック(後のヘンリー4世/ 鈴木彰紀)が父の死、そしてその父の財産をリチャード2世が没収したその暴挙をきっかけに、国外から蜂起しリチャード2世討伐にかかる。臣下たちは次々とボリングブルック側についたので決着はすぐについた。ボリングブルックは自らの名誉回復を願ったのだが、それに対しリチャードはあっさりと王位を引き渡してしまう。それまで神に等しい存在と崇められていた王がこのような形で(力づくで)在位を追われることなどなかった。

歴史的に見ると、この王位交換がこの先続くイングランドの勢力戦争の繰り返しの発端と言えるのかもしれない。

 

コンパクトなウェストエンドスタジオの空間はファッションショーのランウェイのような舞台(奥の出入りをする口とそこから真っ直ぐ伸びた細長い舞台、周りには敷き詰められた小石がぐるりと舞台を囲っている)とそれを三方から取り囲む観客席という形状に作りかえられ、どこの席からでもその眼前で繰り広げられる英国貴族たちのいがみ合い、時に剣による戦いが迫力を持って感じられるようになっている。

 

日本の着物(帯がサッシュベルトになっている)スタイルの衣装、枯山水のような石が一つ置かれた細長の舞台。

そのシンボリックなヴィジュアルがこの複雑な人間関係が絡んだ歴史劇にはふさわしい。つくづく、シェイクスピア劇にはセリフがあれば良いのだ、と思い出さされる。

 

その台詞に関してなのだが、復讐だ、暗殺だ、、、と盛り上がるのはよくわかるが、、もう少しボリュームは抑えて発声した方が良いのでは?と思われる場面もあった。

 

例えば、河内の台詞などは響くが、それほどが鳴ってはいないのだから。

熱はこもっても、叫んだり、が鳴ったりは無い方が良いと思う。

蜷川幸雄のさいたまNextシアター出身の鈴木の台詞術はしっかりと耳に届いた。