渋谷のイメージフォーラムでこのルーマニア映画を鑑賞。

 

2021年のベルリン映画祭で最高位の金熊賞を受賞したこの映画、チケット売り場で題名を言うのがちょっとばかりはばかれるものの、かなり真面目に面白く、アンラッキーな主人公=優秀な教師なのに夫婦間の営みが流出したアクシデントにより「ポルノ教師」と糾弾されることに—の答弁がとても痛快に、格好良く聞こえた。→成人の夫婦が同意のもと、このようなことをすることには何も問題はないはず。それよりも子供たちがアダルトサイトに簡単にアクセスできてしまうことを親としては問題視して、改善するべき。

 

***映画館のサイトより 詳細説明***

 

ルーマニア、ブカレスト。有名校の教師であるエミは、コロナ禍の街をさまよい歩いていた。夫とのプライベートセックスビデオが、意図せずパソコンよりネットに流出。生徒や保護者の目に触れることとなり、保護者会のための事情説明に校長宅へ向かっているのだ。そしてコロナ禍のブカレストの街を漂流するかのように歩くエミの姿が淡々と映し出されていく。彼女の抱える不安や苛立ちは、街ゆく人々も共有する怒りと絶望であり、さらにはその街、引いては世界の感情そのもののようであった。猥雑で、汚れ、怒りを孕んだ空気が徐々に膨れ上がっていく…。ルーマニアの鬼才ラドゥ・ジューデ監督、そうした社会の胎動をエミに託し、いきなりのハードなセックスシーンをプロローグとして、続けて物語を三つのパートに分けていく。さらに三つの物語の結末を用意する“マルチエンディング”で、監督はポルノグラフィという問題をブラックコメディとして見せ、映画を終息させる。コロナ禍で浮き彫りにされた社会の偽善や偏見を描き出し、類をみない傑作の誕生となった。

 

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冒頭、彼女がブカレストの街を彷徨い歩くシーンが(今時の映画には珍しく)延々と続くのだが、その無言の時間、映し出される街の風景からこの国が抱えている社会問題などが垣間見えてきて、いかにこの時間、尺が必要だったのかがわかる。

 

唐突なストーリーとは直接関係はない第二部の皮肉な社会批判、今の時代への風刺も効いている。

 

さすがベルリン、わかっていらっしゃる。