夜は中野へ移動して、古城十忍率いるワンツーワークスの新作「民衆が敵」を観た。

 

*******演劇情報サイトより*******

 

「匿名の正義」と、どう向き合えばいいのか?
いびつな情報化社会の根底に巣くうものの正体が浮かびあがる……。

男は「ある反政府集会」で中心的役割を担っている人物が自分の娘の恋人であることを知り、大いに戸惑いながらも、その恋人の日々の行動確認(行確=コウカク)を開始する。
高校教師を務めるその娘は、思いもかけないことで見知らぬ人々からSNSによる誹謗中傷を受け、個人情報までもがネット上にさらされてしまう。
「本当は何者なのか」。どうしてもその正体をつかまなければならない。男の行確は続く。そんなある日、男は自分自身が見知らぬ何者かに行確を受けていることに気がつく……。
そして娘は、悲嘆に暮れ、怒りを覚えながらもその火消しに躍起になって仕事が手につかなくなるなか、誹謗中傷の発端が意外な人物であったことを突き止める……。

********************

 

今、さまざまなところで問題視されているSNS上の匿名の誹謗中傷、そして顔を見せずに(匿名)粛々と進められる政府内の情報収集機関、官房調査室(内調—〈内閣の重要政策に関する情報の収集及び分析その他の調査に関する事務〉)に関するエピソードを通して、その匿名性という一方通行の暴力、企業(今回の場合は官僚と公務員である学校教師の世界)内の静かな同調・絶対圧力、世代間格差、ジャーナリズムのあり方、などなどに関して問いかけている。

 

中野ザ・ポケットの小劇場の舞台にはプラカードを持って抗議する市民団体のメンバー、そして黒いスーツに身を包んだ官房調査室の役人たち、官調のベテラン社員である主人公の男の娘が勤務する公立学校の教師と生徒、、、と12人の役者がその時々で役を兼任しながらひしめき合っている。当然ながら、ステージセットは至ってシンプル、官調のデスクとその上にパソコンを型どったものが設置されているくらいだ。

 

そんな中、立場の違った人たちの話し合いが次から次へと代わる代わる登場するわけだが、この場面転換が群舞やスローモーション、役者たちが写真に収められている程で静止したりして、メリハリがあって飽きない。

 

つくづく芝居というのはどのように観客の想像力を働かがカギなのだな、と感心した。

 

ポストパフォーマンスで役者たちがSNSとの付き合い方、SNSの効用などについて自由に話し合っていたのだが、そこでまさに劇中で表されていたような世代間の違いがあからさまに出ていたので、それも面白かった。

そうですよね、、生まれた頃からタブレットとスマホがあるんですものね。。。あ〜〜OL時代に初めて林檎マークのコンピューターの使い方を教えてもらって、「へ〜〜ゴミ箱に捨てちゃうんだ〜〜」なんて目を丸くしていた私からすれば、今は異次元。