座・高円寺で劇団鹿殺し主宰、丸尾丸一郎の初ミュージカル「雑踏音楽劇 ネオンキッズ」を観た。

 

当日パンフによると、丸尾氏は元々いつの日かミュージカルをつくりたくて、演劇の世界に入ったのだとか。

と言うことで、今回は作・演出・出演に加え、オリジナル曲の作詞も担当している(曲は舞台「刀剣乱舞」などで音楽を担当した伊真吾)。

 

カラフルなストリートファッションに身を包んだ若者たちが自分達が身を寄せる世界 — 社会ニュースにもなっている歌舞伎町の「トー横キッズ」(歌舞伎町の新宿東方ビル(ゴジラビル)付近に集まり、昼夜問わずたむろする若者たち)を今作では取り上げている— で出会った仲間たちとの友情や衝突、金銭搾取や自死、組織的な薬物強要の関与などを経験しながら自分の戻るべき場所を見つけていくストーリーとなっている。

 

若者たちの元気いっぱいの歌とダンス(振付:辻本邦彦)、その場所設定—社会からはみ出した若者たちが集まるところ—などから一見すると、「Hamilton(2015)」で史上最多のトニー賞ノミネートを果たしたリン・マニュエル=ミランダの2008年トニー賞ベストミュージカルに輝いたヒットミュージカル「イン・ザ・ハイツ」を彷彿とさせる。

———欲を言えば、ネオンキッズたちの家庭や育った環境などのバックグラウンドが表面的な設定(知識)で終わっていて、もう一つ深いところ、今日のトー横キッズが抱える問題に踏み込んでいないのが残念。

トー横キッズたちの現実はかなり訴えるところが多くあると思うので。

 

全9曲のオリジナル曲は詞も含め、どれもがよく出来ていて、輸入(翻訳)ミュージカルでは味わえない作品(脚本)へのフィット感を感じさせる。

 

そんな曲を歌い、踊って魅せる俳優、と言うのが今回の大きなポイント。。。劇団メンバー、客演メンバー、、その中で主人公の少女3人を演じているのがAKB48の岡部麟・小田えりな・下尾みう。どうやら以前にもこの3人が丸尾演出の舞台に出演したという経緯があるらしい。

 

私自身はアイドル業界に全くもって疎いので、それぞれの活動なども全く存じ上げていないのだが、会場には明らかに彼女たち目当てと思われる若い男性客の姿が。名前の入ったトレーナーを着ていたり、彼女たちの見せ場で大きな拍手が起こったり。

 

こうゆう形での演劇界の広がり、と言うのもこれからは多くなっていくのだろうな、と勉強になった。

昨今の演劇界の主流作品、ミュージカルや2.5次元ミュージカルなどには彼女ら、彼らなどの歌って踊っての素養のある人たちが不可欠なのだろうな、、と。

 

時として、これはアイドルコンサートなのか?と混乱する瞬間もあったが、私を含め、彼女たちのキャリアを知らない人たちにしても彼女たちの魅力は十分に伝わってきた。3人組女性ユニットの王道、キャンディーズのようにそれぞれのキャラが被っていないのも良い。

 

その中でも岡部燐さん、、の歌声、そして独特な身体表現(身体をくねらせるのでも一癖あり)には光るものを感じた。