神奈川芸術劇場(KAAT)で小野寺修二率いるカンパニーデラシネラが近年続けているシリーズ、国際共同制作作品「TOGE」を観た。

 

カンパニーデラシネラがダンスではなく、「身体言語創作」と自分たちの表現を言い表しているのに納得。

 

高速で回転したり、足を180度に開脚したり、高く跳躍したり、、、ではなくて、私たちの日常動作の延長を優雅に、美しく、意味を持って魅せる、そこにパフォーマーたち(今回は5人の女性で3人の日本人とマレーシアと台湾から1名ずつのメンバー)の豊かな顔の表情(表現)も加わり、無言の身体を使った演劇として見事にストーリーを伝えてくれる。

 

パンフレットにジョージ・オーウェル「動物農場」から着想し創作した作品とあるが、その出発点がどのように繋がっていったのかの道筋はクリエーターの小野寺(自身も動物を管理する人間として(?)少し出演している)の脳内にあると言っておこう。「動物農場」の話を知らなくても、見ているだけで5人の女性(動物?!)たちの関係性、目指すところは明確に伝わってくる。

 

身体だけでなく、全身でキャラクターを表現しなくてはならない彼女たち。その中で、チームを引っ張るデラシネラの藤田桃子の表情が良い。顔を見ているだけで、その無言の会話の吹き出しが見えるようだ。

 

また、昨年の同シリーズの際に出演していた台湾のLiu Juichuの昨年よりさらに洗練された動き、踊りにハッとさせられた。彼女が1年間を充実して過ごしてきたことがよくわかった。

 

(Liu Juichuと小野寺へのインタビュー記事がこちら)

 

 
身体表現でストーリーを紡ぐ、、小野寺のその表現スタイルが多くの演劇劇団から求められているのは自明の理であろう。