両国シアターX(カイ)で勅使川原三郎と佐東利穂子KARASの公演、「読書 本を読む女」を観た。

 

薄暗い舞台には息を潜めて読書に没頭する女(佐東)の空想の世界が出来上がっていた。

いつもは編み込みでアップのヘアスタイルが多い佐東だが、今回はプライベートな時間ということからか髪を無造作にそのまま垂らしたまま、その自由な感覚の世界を表現している。

舞台左手前には読書をするための小さな机、そして舞台奥にはさらに集中するため、また時に読書後の余韻に浸るための大きな赤いソファが置かれている。

 

舞台を通してに流れるのは佐東の本を読む声、その本は;

ゲーテ「形態学論集・植物篇」

泉鏡花 「外科室」

ラフォルグ「ペルセウスとアンドロメダ」

ル・クレジオ「物質的恍惚」

川端康成「片腕」

夏目漱石「夢十夜」

オノレ・ド・バルザック「セラフィタ」

からの抜粋。

いかにも深夜、周りが静まりかえった中で没頭するのに最適な幻想的であり、一方で観念的、、物事、人間の根源をたどるようなものが選ばれている。

 

その中で、時にそのソファに身を投げ、また床で腹ばいになり本の中の世界に入っていく佐東。勅使川原は時にその小説の中の登場人物になり、また佐東が抱く想像の世界の相手となり、読書の先の脳内世界を身体で表現する。

 

本の中の観念世界、そしてそれを人が朗読することで立ち現れるさらに人に近づいた世界、、そしてダンサーが身体でみせる。。。と多方面からその言葉を捉えることができるライブパフォーマンス。

 

個人的には泉鏡花の「外科室」の朗読が秀逸だった。