(c) 石川純

 

 

 

↑東池袋のあうるすぽっとで6日まで上演中の国際共同プロジェクト「テンペストーはじめて海を泳ぐにはー」に関する記事。

日・英・バングラデシュのハンディキャップのある(聴覚・視覚障害だったり、身体に障害のある)俳優たちが言葉、障害の壁を乗り越えての共同作業に挑んだ作品。

当初は昨年、オリンピックにあわせて上演される予定だったが、コロナ禍で延期となり今回のタイミングでの発表となった。

さらにコロナにより、来日を予定していた外国人たちー俳優、そして演出家の英国人Jenny Sealeyもーはリモートでの参加を余儀無くされ、状況はますます複雑な状況に。

時差がある中での日英語の通訳に加えそれぞれの手話通訳を介しての作業。このような状況に応え、内容はそんな様々な困難を克服していく彼ら自身の様子を映した物語へと発展していった。リハーサルルームで交わされている会話、出来事の多くが劇の中に取り入れられている。

ろう者の俳優で障害者アートの第一人者大橋ひろえと演出家(彼女自身もろう者)ジェニーのインタビューから彼らの奮闘の様子を紹介している。

*******************(FBより)************

 

先日新聞で紹介した日本、英国、バングラデシュの障害を持つ俳優たちによる「テンペスト〜はじめて海を泳ぐには〜」を観てきた。

 

舞台写真にあるように、手前で日本人俳優たちがリハーサルを進める様子、そして背面にある2つのスクリーンの1つには英国からリモートで演出するジェニーの様子と、英国俳優3人(この人たちもそれぞれの家からZoomで参加しているので、ロンドン、エジンバラ、ウェールズと別々の場所からの映像が流れることになる)、そしてバングラデシュ俳優の2人の様子がかわるがわるに映し出されることとなる。そしてもう一つのスクリーンには日本語と英語の文字情報(セリフ)が、大きくわかりやすく流れている。

 

この丁寧な情報提供のおかげで—ちなみに舞台と会場にいるろう者のために、随時劇中内で手話も行われている—、まずこの複雑な状況の会話劇だが、観劇する側として不自由を全く感じないということに驚いた。

 

それぞれのハンディキャップによるシチュエーションも含めて(例えばろう者が演じている、視覚障害者が演じているシチュエーション、が自然な流れで受け入れられる)全てがスムーズに進行していくのだ。

 

また、彼ら俳優陣の演技(演出家のジェニーも含めて)のクオリティーの高さも、この舞台の成功を導く大切な要因となっていた。

彼ら、舞台にいる日本人俳優たちの不満、疑問などを伝えようとする熱量、また劇中劇の「テンペスト」を見事に演じている演技には眼を見張った。

また、身体的障害を微塵も感じさせない、それを自らのチャームポイントにしてしまう英国人俳優たちの演技は圧巻だ。

 

日・英・バングラデシュ3国のそれぞれのお国がらの違いもジョークの部分で上手く取り入れられていたのだが、

バングラデシュ俳優たちの強い意志とそれを成し遂げようと奮闘するエネルギー、英国人のジェニーのお茶目な一面(英国時間で朝の4時にリハーサル開始となるので、彼女はいつもベッドからの挨拶からスタートする など)など、クスリ(笑い)としてしてしまうシーンもあり、良質な国際共同プロジェクトになっている。

 

何か障害があれば、それを排除するのではなく、独自の方法でそれを乗り越えて行く、、そんなジョークと余裕のある社会になれば

みんなが笑いながら日々を過ごせるのようになるのだろう。

それこそ「せまい日本、そんなに急いでどこへ行く」なんだろう。