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「チェルフィッチュ」という名前にひかれて、横浜までダンスを観に行ってきました。

と言うのも、近年、演劇界での話題の的がこの`チェルフィッチュ’だからなのです。劇作家・演出家、岡田利規氏主催の演劇ユニット「チェルフィッチュ」。演劇界、90年代を先導した平田オリザ、松尾スズキにつづく21世紀のエポックメイカーとして大変注目されながら、マイペースに活動を続ける、新世代の演劇ユニットです。

その静かなる台頭が演劇界の核を動かし、昨年2006年には新国立劇場で注目のデビューを果たしました。
が、、このデビュー戦が、、、演劇界の高齢層には大不評。
実際、演劇雑誌の古参、月刊テアトロの2006年総評では圧倒的な数のワーストワンをたたき出しております。

舞台上でのモノローグが台詞になっていないとか、ただ手足をぶらぶらさせながら台詞をしゃべる様が演劇とは言えないとか、、お気持ちは良く分かります。
私も、初めてチェルフィッチュを観た時は、全く同じような感想を持ちました。
(その事実にちょっと自己嫌悪、感覚が鈍っているのかと不安。。)
若者しゃべり「私的にはーーー」「〜〜って言うか、、〜〜している風な。。」といった、独特な台詞術に嫌悪感を覚えたのです。
が、、今思えば、これも岡田氏の演出意図、、ま、今風に言うと、想定範囲内、なんでしょう。
古い演劇用語を引用すれば、ブレヒト的異化効果とでも申しましょうか。
この、絶対的違和感から生じる、脳裏に残るざらざら感がただ単に若者世代の表層を伝えるというだけでは終わらせない、それこそ演劇的意義に通じる秘訣だと思います。

ここで、再度はっきりさせておきたい事は、2006年12月新国立劇場・ピット劇場にて上演された「エンジョイ」は秀作だと言う事です。
70年代の若者群像劇にあったように自分たちの主張を怒鳴るだけではなく、(その時代にはその方法が有効だったのでしょう)、既に大きなギャップが出来てしまっているジェネレーションによる感覚の違いをまさにそのまま劇場に実現してくれた、現代の若者の閉塞感を痛ましい程に露呈してくれた「エンジョイ」は秀作!!です。

で、、、ダンスなのですが、1時間ほどの小作品で40人ほどの観客が入る小さな小屋で、これまた小さな(155cmデュオとプログラムにはありました)女の子二人のコンテンポラリーダンス。
映像の使い方、そしてダンスも、センスの良いやはり2007年の匂いを漂わせた優良作品でした。