ついつい、外出日に用事をまとめてしまい、、今日(3/7)も観劇2本です。

マチネー渋谷シアターコクーン&キューブ共同制作「橋を渡ったら泣け」

土田英夫2002年に自身の劇団MONOに書き下ろした作品を生瀬勝久の演出により再演。
今をときめく、人気舞台俳優を一同に集めて、大倉孝二、八嶋智人、奥菜恵、、、etc.の豪華な企画。チラシもキラキラと滑り輝く豪華さ。
が、が、、、なんとも、風呂場の湯気のように実態の無い、ゆる〜〜い芝居でした。

具体的な状況設定が無い、近未来、大災害による崩壊後の日本のどこかで生き延びる人々のゼロからの出発、ふり出しに戻された人々がコミュニテイーを形成していく過程においての戸惑い、問題、衝突などが描かれて行く。初演時の小劇場ではそれなりに形を成していたかもしれない、曖昧な状況設定がシアターコクーンの大舞台ではまったく対応できず。空間の大きさとあまりに大掛かりなセットに話自体が収縮してしまった。
俳優の問題、、演出の問題、、云々の前段階、企画の問題であろう。
ぜーーんぜん興味はないものの、おそらく家でアメリカンTV番組「LOST」を観ていた方が、同じテーマでは楽しめたかも。

ソワレー下北沢、スズナリ劇場で松本修主催の劇団MODEによる、フランツ・カフカ原作「変身」を観る。

松本氏はこれまでにカフカの長編小説2編、「アメリカ」と「城」を演出しており、それぞれに大きな成果を上げている。
彼の描くカフカの世界ープログラムでも自身が語っているように、カフカの小説のヴィジュアル化は非常に魅力的である反面、当然のごとく難しさが付いてくるーがかなり気に入っているので、今回も期待して劇場へと足を運ぶ。

ある朝目覚めると、ザムザは巨大な虫になっていた、、、というお話。皆様殆どの方がどこかで読んだ、もしくは聞き及んだ覚えのある話だと思います。
(以前、ZAZOU Theatreで「変身」やってたっけ??余談)

今回もその難しいカフカのヴィジュアル化を見事にやり遂げていただいておりました。
不条理劇の真髄でも観客が想像するものを信じての空白部(つまり不条理な部分)を絶妙なバランスで舞台上にちりばめておりました。
当時、プラハの灰色の空と町並みを背景にザムザ家で起こる、中(低)産階級市民の悲劇を大変おもしろく、また視覚的にも美的に見せてくれました。

これぞ、学生諸君に観て、大いに語ってもらいたい、良質の演劇です。
大満足。。。

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