対談者:松岡正剛さん × 佐藤 優さん

雑誌『中央公論』2017年9月号 p.119

 

◎ 何かを失ったドイツ

 

佐藤 優さん:以前、ドイツから生まれた思想を散々紹介しました。当時の思想界における隆盛は嘘のように、昨今のドイツ思想の退潮は凄まじいです。実は三年前から母校の同志社大学で教鞭をとり始めたのですが、プロテスタント神学を学ぼうとする学生ですらドイツ語を選択しないのです。知的関心が高い学生はフランス語を選択しますね。でなければ中国語です。

 

松岡正剛さん:それは残念ですね。思想だけでなく文学も低調です。ただ時々ギュンター・グラスのような人が出たりもしますが、やはり不調ですね。むしろチェコなどのドイツ周辺では面白い文学者がいます。その代表格がミラン・クンデラでしょうか。

 

📖 第89冊『ブリキの太鼓』   1959

 

 

📖 第90冊『存在の耐えられない軽さ』   1984

 

 

 

佐藤:その流れでいえば、東欧アルバニアのイスマイル・カダレとかも良いですね。

 

松岡:ええ。カフカの再来かと思いましたね。

 

📖 第91冊『夢宮殿』   1981

 

 

 

松岡:それにしても、近年のドイツは矢張り何かを失っていると思います。

 

佐藤:以前、フランクフルト空港からルフトハンザに乗ったのです。あの灰色で無機質な感じというのか … 。ドイツ人はあれで落ち着くのですかね。

 

松岡:アウトバーンの延長なのではないかと思いますね。歯をくいしばって何かを頑張っている。そこから新たなものが生まれて来る予感がします。

 

佐藤:歯をくいしばって頑張って、結果、過剰な資本蓄積に。何処かに貸し付けなくてはいけなくなって。ギリシャのような金を返せない国にタップリ貸し付けたと。

 

松岡:なるほど(笑)。

 

📻 気まぐれBGM

 

今回は、ビートルズ「ノルウェーの森」、クラフトワーク「アウトバーン」が自然と思い浮かぶ訳ですが。ここは矢張り、あまり知られていないインスト曲でという趣旨に沿ってみます。

 

♫  Rose    2007

 

 

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