抜粋:『中央公論』2017年8月号 P.90 - 91
対談者:松岡正剛さん ✖️ 佐藤 優さん
◎ 自死の思想の恐ろしさ
(承前)
佐藤 優:キリスト教そして仏教と来て、三大宗教ですから。イスラム世界からも一冊あげておきましょう。
📖 第20冊『意識と本質』1983
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意識と本質―精神的東洋を索めて (岩波文庫)
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松岡正剛:昨今イスラム過激派の自爆テロが問題になっています。如何わしいのですが、自死や殺人と響き合う日本の思想を見ていきます。筆頭は、田中智学です。
📖 第21冊『日蓮主義教学大観』1939
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日蓮主義教学大観 (1975年)
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松岡:彼は宗教改革を志し、日蓮主義と国体主義による社会運動を目的に、国柱会の総裁となります。この智学に影響を受けたのが、前回採り上げた姉崎正治ですね。あとは石原莞爾(いしわら かんじ)であり、宮沢賢治であり … 。
佐藤:石原は満州事変へと突き進んでいくのですが、時代の失敗として読んでおくべきテキストを挙げておきます。人を殺す思想については勉強しておかないと。イスラム国の様な事になりかねないですから。
📖 第22冊『最終戦争論』1940
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最終戦争論 (中公文庫BIBLIO20世紀)
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松岡:同感です。武士道(大道寺友山や山本常朝)においても、幕末の攘夷斬りや新撰組の謀殺でも、日本では人を殺すということが何であるのかを本気で考えて来なかった。ジェームス・フレイザーやカール・マルクスの著作にもある様に、ヨーロッパでは「王殺し」が政治と学問の中心テーマでした。ただし、アラーを叫びながら自爆して死を永遠化するイスラム世界の思想には交差しませんが、日本にも自死や殉死の思想はありました。乃木希典(のぎ まれすけ)が自害した後に、森鷗外が本誌『中央公論』に掲載した物語です。殉死の許しを得られずに自死を選んだ主人公とその遺族が、処刑または上意討ちによって滅びて行くのですが、これは「王殺し」の逆ですよ。
📖 第23冊『阿部一族』1913
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阿部一族 他二篇 (岩波文庫)
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佐藤:イスラム世界で自爆テロリストを養成するメンター(助言者)は、精神科医と組んでいるそうで、自殺願望のある人間をリクルートすると、あっという間に養成できると。危なっかしい限りですね。自死の思想は注意深く見ておく必要があります。
松岡:かつての日本では、武門の過激派は規律を犯すと切腹させられた。人を殺す事と自分が死ぬ事とが、ほとんど等価であるという危険な価値観が日本にあったのです。これらがやがては、日本のファシズム運動の理論的指導者である、北一輝と大川周明にもつながっていくのです。北の著作は二・二六事件の青年将校たちの聖典でした。大川の著作も大ベストセラーとなって影響を与えましたし、大川自身が五・一五事件に連座した上、東京裁判の法廷に引っ張り出されて狂者のフリをして退廷する。また、大川はエスペラントやイスラムの研究者でもあったのです。
📖 第24冊『日本改造法案大綱』 1919
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日本改造法案大綱 (中公文庫)
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📖 第25冊『日本二千六百年史』 1939
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日本二千六百年史 新書版
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