主上殿下(チュサンチョナ)へ、淑儀(スクウィ)媽媽ですって。
宮殿の外では、遠い空の国の話であるかのような遥か遠い名前だった。ただ、夢の中の人たちのように一生をかけてもその御顔一つ、拝見することすら叶わぬ尊い方なんだとだけ思っていた。それなのに、今日その尊い方々の中のお一人に、近くでお会いした。それだけ?淑儀(スクウィ)媽媽の書簡を主上殿下(チュサンチョナ)へとお伝えせよとまで申し使って。いつか家に帰ったらタニに聞かせなくちゃ。あの子は特にこんな話が好きだもの。聞けば絶対喜ぶわ。
ところで、返書はいつ頂けるのかしら?
ラオンはしきりに煕政堂(ヒジョンダン)の大門の中を覗いてみた。
そうして一刻(イルガク:十五分)が過ぎ、二刻(イガク:三十分)が過ぎ・・・・。いつの間にか、一時間がはるかに流れていた。一時間の間、心配しつつ門の前を守っていたので、足が痛くなり始めた。痛む太ももをトントンと軽く叩いたラオンは、コチコチになってしまった足を解すため、門の前を繰り返し歩いた。すると、今度は周りを守る兵士(ビョンサ)たちの文句が聞こえて来た。
「まったく。目ざわりな奴め、別の所へ行け。」
結局、ラオンは、塀の下まで追いやられるように押し出されたまま、待つしかなかった。そうして、また一時間が過ぎ・・・。待ちきれないラオンは、髭のふさふさ生えた守門将(スムンジャン)へと近づいた。
「いくらなんでも、返書を持って来てくださるということをうっかり忘れたのではないですか?ちょっとだけでも中へ入ってはだめですか?」
「ここがどこだと思って、むやみに入れるなどと言うのだ!」
「しかし・・・・。」
二人が言い争っていた時だった。二度と現れることはないのではないかと思われた大殿(テジョン)内官(ネガン)がついに、姿を現した。
「なぜこんなにもうるさくしているのだ?」
鋭い目つきでラオンを見た内官が、恩着せがましく、封筒を取り出した。
「これだ。」
「ありがとうございます。」
たっぷり二時間かかって手にした返書だった。ラオンの頭が自然に下げられた。それでも、今回は仕事が迅速に処理されて、日暮れ前に返書をいただいたと、誰かが話のついでに一言話してくれた。王様の影さえも見ることはできなかったが、とにかく、返書はいただけたんだから。受けた任務はやり切ったのだからと喜んで、ラオンは淑儀(スクウィ)殿(チョン)へと戻った。
***
淑儀(スクウィ)朴氏の住まいである集福軒(チプボクホン)は、さっき離れた時と同様に、依然として陰鬱な雰囲気に包まれていた。気持ちとしては、今すぐ『お笑いになってください』と叫びたかった。
いったいなぜあのように憂鬱な表情をしているのかしら?
ラオンは首を傾けて、淑儀(スクウィ)媽媽の前へと出た。
「これが邸下の返書でございます。」
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最近本当に自分の時間が取れず・・・ごめんなさい!!
ちょこちょことなっていますが・・頑張ります!!!
本当にこんな辺鄙なブログへ辿り着いていただけて、ありがとうございます♪♪