「目が大きくて、鼻がこんなふうにすっと高い子なら、医女ウォリに間違いないでしょう。」
チャン内官がいきなり席から立ち上がった。
「ちょうど内医院へ用事があって行かなければならないので、一緒に行きましょう。ウォリというその子、今頃だったら、内医院にいるでしょう。」
愉快な顔に、大声でガンガンと捲し立てるチャン内官について、ラオンは急いで歩き出した。
そうしてどれくらい経っただろうか?内医院が近づけば近づくほど、余計なことをしているような考えを消すことができなかった。チャン内官が大言壮語することに、少しは期待している気持ちもあった。しかし、資善堂から内医院まで来る間に、半信半疑になった気持ちは、半疑側へと著しく傾いた。ウォリとそっくりな目、高い鼻の女官たちをとてもたくさん見たのだ。
この広い宮殿、その多くの宮女の中から、昨日見た女人を探し出すことは、漢陽でキム氏を探すよりも難しいことだ。こうなると分かっていたなら、昨夜のうちに何とか捕まえて聞いてみていたのに・・・・。どうしてそんなにも辛そうに泣いていたのか。しかし、後悔するのはいつも遅い。こんなにも後悔するとしても、昨夜の女人とはもう会うことはできないだろう。
どんな方法を使ったとしても、もう二度と会えないでしょう?もう一度会うことなんてでき・・・あれ?何?会えちゃったの?
ラオンの口が呆然として、あんぐりと開かれた。内医院の庭の中央で、乾かした薬草を入れたざるを持って小走りにしているあの幼い女人は、昨夜、資善堂の楼閣で悲しげに泣いていた少女に違いなかった。
「ホン内官の探していた少女で間違いないでしょう?」
「間違いないです。」
ラオンは医女ウォリから目を離すことができないまま答えた。間違いなかった。あの大きな目、はっきりとした目鼻立ち。こっちから見ても、あっちから見ても、昨夜泣いていた女人だということがはっきりした。ラオンは、驚いた目でチャン内官に振り返った。
「一体正体は何者ですか?」
チャン内官が、得意げに答えた。
「朝鮮の内侍だ。」
そんなことは知っています。
「朝鮮の内侍だからと誰でも大変な見識を持つわけではないではないですか。一体どうされたのですか?いくらにもならない特徴でなぜこんなにも的確に見つめられるというのですか?聞くところによると、女官の数は五百人を超えると聞きました。」
「正確には五百九十六人です。」
「そんなにも多くの宮女の中からどうやって私の言った女人がウォリという医女様なのか、瞬時に知ることができたのですか?」
「ホン内官の言葉では、澄んだ大きな瞳を持つ女官とおっしゃったのではないですか?」
「そうです。しかし、資善堂で内医院に来る間、見た女官の中でも、大きな瞳を持つ女官は手で数えることもできないほど多かったです。」
ラオンの言葉に、チャン内官が指を左右に振った。
「違うでしょう。違うでしょう。大きな瞳だとしても、皆同じような目と違うでしょう。特に、ひときわ澄んだ大きな瞳を持つ子供と言えば大妃殿(テビジョン)のユンドク、中宮殿のヒャングムと、それから、医女ウォリくらいですよ。ですが、同年代で背がこのくらいの子供は、医女ウォリだけなので、一目で見分けることができるというわけです。」
「チャン内官様」
「何か気になることがまだありますか?」
「まさか・・・・五百九十六人の宮女を皆覚えていらっしゃるということではないでしょう?」
「どうしてそうじゃないというのですか?」
「それならば、宮殿の人々をすっかり覚えていらっしゃると言うのですか?」
「それは違います。」
力の入ったチャン内官の喉から、少し力が抜けた。
「宮殿内のほとんどの人々は決して忘れることはないのですが、随時変わってしまう召使い(奴婢ノビ)たちの顔は、半分しか覚えていないのですよ。」
「・・・・・・・!」
召使たちを半分しか覚えていないという理由で、肩を落としているチャン内官を見ると、ラオンは、開いた口を閉じることができなかった。
何ですって?もう何人かを覚えることができないとそんなにも意気消沈しないでください。言い換えれば、宮殿を出入りする人ほぼ全員を憶えなければならないと言うことじゃないですか。
いや、いくつかの特徴だけですぐに誰だか把握できる大変な能力を持った人だった。もしかして、チャン内官は、宮殿の隠れた実力者?いや、そうでなければ、宦官らの大半が、チャン内官と同様の能力の持ち主だということ?想像を超えた展開に、ラオンは、チャン内官へと向けて、両方の親指を立てて見せた。
「すごいです。」
「たいしたことではありません。」
「いいえ。本当にすごいです。」
「ですが、ホン内官。ウォリはどうして探していたのですか?もしかして・・・」
チャン内官は意味深な目をラオンへと向けた。
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久しぶりにドラマを見返し始めました。
もう・・・本当に面白いですね!!!一場面一場面、全部が大好きです!!