昨夜ふいに、夫からデートの申し込みを受けた。夫が私をデートに誘うのは珍しいことだ。明日は、雨が降るかもと思ったが、「えっ、あした、なになに、どこにいくの?」と聞いてみた。夫のデートの計画は、家の近くの森林公園まで歩いて、それから、その近くにある森の隠れ家的なお洒落なカフェでランチしようというのだ。食いしん坊の私は、「カフェ!ランチ!」という言葉にひかれて、即決した。ということで、私をデートに誘いたい人は、美味しいものを用意していたら、すぐに行きますよ、笑。

 

 朝、10時から森林公園まで歩く。草原を横切って、川沿いに歩いていくと、気持ち良い風が吹いてくる。水がしみ出ている遊歩道を登ったり下ったりする。「あのーこれ、ちょっとした山登りみたいだね」と私は言いながら、夫の後をついていく。夫は、もと山岳部、山歩きとなると、がぜん早歩きになる。先日、法事で久しぶりに会った私の姉から「Kさん、歩くの遅いけど、しんどいんちがう?」と心配された夫である。

 

 まるで人が変わったように、森の中を生き生きと歩くのだった。人間なんて、まぁ、そんなものかもしれない。好きなことや好きなものに向かう時は、早足になるというものだ。私だって、お目当てのバーゲン品をゲットする時は、小走りになるからね。

 

 森林公園の入り口に差し掛かった時、ひとりの男性がじっと森の中を見つめていた。私は、その人に「どうしたんですか?何かいるんですか?」ときくと、彼は茂みを指さし「野良猫だよ」という。「えー、野良猫二匹、逃げずにえさを食べてますね」と私が驚いていると、男性は「僕がえさをもってきたんだよ。近づくと逃げるよ」と言って、じっとその様子を見守る。こんな山の中で、茶白の野良猫二匹に出会うことは、今までなかった。何度もこの辺りを歩いている夫も「初めて野良猫に会ったわー」と珍しそうにつぶやいた。野良の猫たちは、生きるのは大変である。この先のこの子たちのことを考えると、少し胸が痛んだ。「どうか、元気でいてね」と思いながら、その場を後にした。

 

 森林公園の中は、平日なので、お年寄り数人と虫取り網を持った親子連れくらいしかいない。マツやヤナギの木が茂っている中で、柏餅を包む「サルトリイバラ」の葉っぱを見つけた。そのつやつやの葉っぱにお餅を包んで食べたいなーと食いしん坊の私は、想像してしまうのだった。木々の力は、私たちにパワーを与えてくれる。そこに立っているだけで、大地から力をもらえたような気がした。

 

 さあて、いよいよお目当ての森の中の隠れ家カフェに到着。ログハウス風の建物の中に入ると、初老の夫婦が出迎えてくれた。デッキテラスもいいが、室内の雰囲気も素敵だ。おとぎ話の中のカフェに迷いこんだみたい。お客は私たち二人だけ。夫は、ビーフカレー、私はミートスパゲティを注文した。味は普通だったが、この雰囲気の中いただくのが、美味しい。川がすぐそばを流れ、水のせせらぎの音が気持ち良い。ゆったりとした森の中で、時が止まったみたいだった。食後に自家製のチョコケーキとチーズケーキをコーヒーと共にたのんだ。うーん、おいしい、特にチーズケーキがふわふわして、おいしかった。

 

 「いいなぁ、私もいつか、こんなカフェやってみたいな。おいしいシフォンケーキとコーヒーを淹れて、素敵な音楽を流して」と夢物語を夫に話しながら、家に帰ったのだった。

 

朝ドラの主題歌です。

米津玄師 「さよーならまたいつか!」

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