放浪記を観た。確かに名優高峰秀子にしては、珍しく肩に力の入った大袈裟な演技だ。森光子の舞台でお馴染みの、器量に恵まれない女の半生を描く貧乏話は、成瀬の演出も脇役も良くない。絶賛された1955年の『浮雲』から7年、本作は主人公がいわゆる美形から外れていて、初めて成り立つストーリーだ。いくらメイクを工夫しても、国民的大スターの高峰にはこの役は演じ切れなかった。ラスト"花の命は短くて、苦しきことのみ多かりき"のインポーズで、どのくらいの観客が納得したのだろうか。『原作・主演・監督・予算の全てが揃っていても、名作は生まれない』の格言が見事に当てはまる、一本













