張込みを観た。何度見ても冒頭の東京発、佐賀行き列車の弾丸移動は本当に見事だ。2人の刑事がヘトヘトになりながら電車を乗り継ぐだけの描写なのに、一瞬も目が離せなくなる。これが野村芳太郎の演出力であろう。驚く事にクライマックスは旅館の風呂を出た犯人が、廊下で取り押さえられるだけだ。もちろんタイトルが張込みなので、張込み期間が山場だが、無抵抗の逮捕が本当にあっという間に終わり、そのままエンドクレジットが上がってアッサリ終わる。本来は監督業を望んでなかった野村芳太郎だが、誰よりも上手く作れる才能を持ち合わせていたため、会社経営と監督業を並行してこなしていた。そのせいか、直営館を埋めるため、時には、箸にも棒にもかからない駄作を連発する時もあったが、日本映画黄金期の1950年代に、誕生した傑作刑事ドラマの一本
1958年キネマ旬報第8位