吸血髑髏船 | を観た。~3行映画評~

を観た。~3行映画評~

日本映画を中心に。たまに見る劇場新作も。タイトル前の◎はオススメ○は見て損ナシ△は気をつけて⭐️はその年のベスト

吸血髑髏船を観た。これまた訳ありの完全お蔵入り映画。シナリオを共作している小林久三が著作の中で書いているが、撮影終了後重要なシーンに出てくるクルーザーの持ち主からクレームが入り、それと分かる場面の全面削除を求めてきたのだ。プロデューサーは対応に奔走したとある。本作のトラブル以後、松竹では二度と怪奇ドラマは作られなくなってしまった。現状見て唯一秀逸なのは物語中盤、水没した車両を引き上げる時に海面に徐々に出てくる骸骨と、それに掴まれた潜水夫の遺体のくだり。劇伴と共に良い。ただし全編を通じて致命的なのもその髑髏。造形物としての出来の悪さが半端ない。大船調メロドラマを得意とする松竹では、特殊造形ノウハウもへったくれもない。その完成度は夏休みの宿題レベル。主演かつ二役の松岡きっこはじめ俳優陣はよくやっている。ラストは地下で生活していた(!)マッドサイエンティスト登場で、支離滅裂な幕切れ。出来の悪い怪奇大作戦の様。小林曰く"原型が分からないほどカットされた"らしいが、現状では凡作・失敗作の汚名は免れないだろう。映画会社が毎週のように新作を公開していた時代。本作のような作品はいったいどれくらいあるのだろう...