もうすぐ小学校の入学、という頃
私は入学式には一張羅の服を着て行って
親も来てくれるものだということを知らなかった
でも、保育園のお友達と話すうちに
そういうものだということを知った
ある日、父に言われた
入学式に着る服をお姉ちゃんと一緒に
買いに行ってもらうように頼んだからね
お姉ちゃんと一緒に行っておいで
そうなの?!
嬉しい!
私はその日が待ち遠しかった
服を買ってもらうということも
珍しいことであり
何よりもみんながお母さんとしているようなことを
私はお姉ちゃんと出来るんだ!
そんな風に思ってワクワクしていた
そして、待ちに待ったその日がやってきた
私はもう、朝からウキウキだった
そして、お姉ちゃんと一緒に隣町の
ショッピングモールまで出掛けた
ねぇ、どんな所へ行くの?
どんな服がいいかな?
お昼は何食べるの?
私はあまりに嬉しくて
いっぱいいっぱいお喋りをした
しーっ、静かに!
バスや電車ではそんなにぺちゃくちゃ
お喋りしちゃ駄目だよ
あ…そうなんだ
うん、わかった
私は舞い上がっていたものだから
少し静かにするようにした
ショッピングモールに着いて
服を見始めた
今までは、父が買って来てくれた服を着ていただけなので
服屋さんに服を見に行くということすら
初めてだった私は
もう楽しくて楽しくて、たまらなかった
うわぁ、こんなに可愛い服がある!
私はまるで夢の国にでも行ったかのように
はしゃぎながら服を見始めた
乃愛ちゃん、そんなにすぐに
あちこちお姉ちゃんから離れないで!
迷子になっちゃうでしょ?!
あ、ごめんなさい…
だんだんお姉ちゃんの顔が困った顔になり出した
私、こんな服がいい!
えー、それは駄目よ
多分予算と合わなかったのだろう
えー、駄目なの?
じゃあこれは?
それも駄目
じゃあこっちは?
駄目駄目
私はだんだん機嫌が悪くなってきた
だったら、どれだったらいいの?
ほら、これは?
そんなの、可愛くないもん、やだ!
なんでよ、ピンクだから可愛いじゃない
私はまた泣きそうになってきた
お父さんだったらいいって言うかもしれないのに…
なんだか、今日のお姉ちゃん…
やだ…
ほら、じゃあこれは?
これかこれだったらいいの?
うん、このどっちかだったら、いいよ
じゃあこっちのピンクの服…
そう?!
じゃあこれにしよっか!
なんだかなぁ…だけど
私は仕方なく
これならいいと言われた2つから選んだ
私はすっかり不貞腐れてしまった
乃愛ちゃん、お昼ご飯食べよう!
美味しいオムライスのお店に行こう!
オムライス?
何それ?
いつも祖母のご飯を食べていた私は
オムライスって何なのか、知らなかった
美味しいよ〜!
見たこともない、美味しいオムライスを食べた私は
なんとか機嫌を直した
これが、父なしでお姉ちゃんと2人だけの
初めてのお出掛けだった