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パソコンの電源を入れたら『中古品』という画面がユラユラと表示されるではないか。
冗談じゃない、新品で購入した筈だ、と慌ててキーボードを叩く。
強制終了を考えたそのとき、仏壇の前に正座する人影がディスプレイに映し出された。
嫌な予感がする。

だいぶ前に録画されたようなザラついた映像だ。
父親と向かい合う形で正座する三人の子どもは、女児ふたりと男児ひとり。
仲のよい姉弟、それと、よそよそしい妹という雰囲気である。
揃って黒い和服を身に纏い、仏壇には成人女性の遺影。

ここまで見ていて気付いたのだが、末子である妹は母違いか何かなのだろう。
音の無い映像なので勝手に解釈するほかないのだが・・・。
しかも妹は仮面を付けているため、表情が読み取れない。
私は電源ボタンを連打した。
この先は見たくない。
だがビデオは流れ続ける。

怒りの表情をした姉の顔と、床に転がる仮面。
姿勢を崩した妹が血を吐いた。


私の部屋の黒ずんだ小さな染みは、こうしてできたらしい。
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奇妙なスーパーで買い物を終え合宿所へ戻った。
みんなで眠る部屋はとてつもなく広く、突き当たりの壁が見えないほどである。
そこには二段ベッドのようなものが整然と二列に並べられ、真ん中が通路となっていた。

就寝時刻ぴったりに全員がベッドへ入る。
それを確認した私は、部屋の入り口に設置された流し台で歯を磨いていた。
そして鏡越しに異常を察知する。
見知らぬ男があるベッドの前に立ち、寝ている生徒と話をしているではないか。
物音ひとつしなかった。いつから居るのだろう。

「どちら様ですか?」
「ピザの配達に来ました。」

この男と話していた生徒は、確かにピザの箱を抱き締めている。
男は帽子を目深くかぶっているが、口元を見る限り無表情であった。

本当にピザ屋なのだろうか。
疑わずにはいられない。
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郵便受けに、開封済みの手紙が3通ほど入っていた。
汚く崩れた字で書かれたその宛名に見覚えはない。
封筒を覗いてみたところ、うち2通は空っぽである。
残りの1通からは、四つ折りされた銀色の紙が出てきた。

山の写真だ。

やや余白の多い銀紙の中心に、山の写真が印刷されている。
よくわからないので、それらを机の上に置いたまま出掛けることにした。

ふと 目に止まった郵便受けには、またもや手紙が入っている。
白い封筒に、とても小さな活字で『謎の紳士様へ』とあるではないか。
今度は私宛のようだ。
中から取り出した白い便箋には、たった一行


『あの山は噴火します 逃げてください』