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この猛暑の最中、私は涼しい部屋で眠っていた。
頬を撫でる冷たい風が実に心地よい。
ふと目を開けてみる。
そこは部屋の中というより、廊下と部屋の境目。
つまり開け放たれた戸扉を跨いだ場所に、私は横たわっているのだった。
硬い床の上に直接寝そべった形である。

なぜ私はこんなところで眠っているのだろう。

そこは亡き父の部屋の入り口。
扉だけでなく、窓も全開の様子だ。
北側に位置する部屋の為、これほどまでに涼しいのだろうか。
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空を飛んだことがありますか

とても気持ちがいいですよ

低空飛行はストレスが溜まることを知っていますか

どうせ飛ぶなら高いほうがいいのです

屋根が小さく見えるほど高く飛ぶこともありますが

それは想像以上にゾクゾクいたします

ひとに見つからないよう飛ばなければなりませんよ

見つかったら大事に見舞われてしまいます







空を飛ぶ鳥に対しては心穏やかな人々であっても

空を飛べる人間には酷く嫉妬するものなのですから
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小姓町から本町へ向かう、一方通行の道があるだろう。
大通りから2本ほど東にある、あの道だ。

そこを注意深く歩いていると、途中左側に細い路地の入り口を見つけることができる。
その先に何があるか知っているかい?
顔を上げれば、大きな木が目視できる。
実はひっそりと公園が存在しているのだ。

大きな木には豊かな葉が生い茂り、木漏れ日すらなくとても鬱蒼としている。
あまり人も訪れない暗い公園。
私は幾度か足を踏み入れたのだが、薄気味悪いので好きにはなれなかった。

更に薄気味悪いことに、その公園は存在しない時がある。
いや、逆に、たまにしか存在しないとでも言うのだろうか?
とにかく、路地も発見できず大きな木も見当たらない日があるのだ。

私以外の人間も、きっと不思議に思っていることだろう。
そうに違いない。