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フライドポテトを買おうとしたが、店員がなかなか対応してくれない。
早く食べたい。早く食べたいのだ。
イライラして目が覚めた。
そんな夢を見たせいか、起床後の私の腹は無性にフライドポテトを欲している。
向かった先のキッチンには祖母が居た。

「洗濯物、乾きましたよ。」
と手渡されたのは、誰のものかわからぬ真っ赤なミニスカートだった。
スカートにしてはあまりにも短すぎる為、もしかしたら違う使い方をする衣服なのかもしれない。
私はお腹が空いていたので、それをクレープのように折り畳み噛り付いた。
食い千切られた布、そしてやたらくっきりと残る歯形に自分でも驚く。
本当に食べられるとは思わなかったのだ。

困惑しながらも私は、味のしない真っ赤なクレープを頬張り続けた。
今日は珍しくファーストフード店に出掛けてみよう。フライドポテトが食べたい。
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私は、お目付け役として政治団体の貸し切りバスへ乗り込んだ。
顔見知りが居ないので一番後ろの席に向かう。
みな訝しげな表情だ。
添乗員は一番前に座るよう促してきたが、車酔いのジェスチャーをして見せたら黙って頷いた。

到着したシンポジウム会場はレジャー施設も兼ねているらしく、裏手には広場やプールなんかも見える。
入場したのはいいものの、何をすべきか全くわからない。
そのとき、入り口のドアガラス越しに武装集団の姿を発見してしまった。

いち早く気付いた私は行動も素早くできたが、会場は大惨事に見舞われることとなる。
爆発音が轟き建物は崩れ、多くの人々が中に閉じ込められてしまった。
思わぬ爆風に飛ばされ、すんでのところで私は外へ出られたのだった。

途方に暮れつつ、来訪客たちで賑わうプールサイドを歩く。
同じく会場から脱出できた若い男性が、笑顔でこちらへ近付いてきた。
呑気な奴だ。

私は男を一瞥し、明日がくるのを強く望んだのである。
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大切な知り合いの氏名をド忘れしたことはないか?
私はある。

繁華街を歩いている際に友人を見つけ、声を掛けようとしたときだ。
下の名前がどうしても思い出せない。
親しい間柄なので、いつも名前で呼んでいた筈なのだが。
彼は私の存在に気付かぬ様子で、どんどん先に進んでしまう。

仕方がない、名字で呼んでみよう。
そう考えた瞬間、頭の中で彼の名字が溶けだした。
溶けて完全に消えてしまう前に彼を呼び止めなくては。
リアルタイムで消失する記憶・・・なんとも説明しにくい。

結局声を掛けるのは諦め、走り寄って彼の肩を叩いたのだった。
「俺のほうから知らせるよ。もうちょっと待ってて。」
と、彼は言った。