

・・・そうか良く分かった。少し待て」
続き
大変危ない状態ですね。
このままでは地獄に落とされてしまいますねー。
<先生、何人憑いているのでしょうか?>
ですから、このままでは何霊除けてもきりがないのですよ。
とそして、今後、息子さんに憑いている怨霊を、これまでのように一人一人呼び出し除けるのがいいか、それとも一気に天国まで引き上げるか、どの方法が一番良いのか?などについて話し合いをする。
その結果、
“とりあえず、この怨霊だけでも除けてください”
との事になった。
すると話を聞いていたらしい怨霊は、
「お前今、聞いていたのか?」
「聞いておりました。カミサマ、神様は本当に、カミサマ、本当に私たちの事を考えて頂いていて有難くて、大変有難くて、私、神様にお会いできて、こんな光栄なことはございません。まして体まで治して頂けるとは、神様、本当に私の体を治して許して頂けるのでしょうか?」
「そうじゃ、お前まではなぁ~。今我と話をしているのは只野の母親だ。この母親がお前だけは治して欲しいといっている。他のヤツらはしょうがない。お前だけは治してやる。後は、本人(息子)の罪だからなぁ~」
「さ、さようでございます。私たちはこやつに殺されて苦しい目に合っております。それを先ほど神様が私たちの立場を考えて頂き大変嬉しいのです。恨みのしがいがありました。あ、有り難き幸せに存じます」
「よーし、もういい。今から治してやる・・・(施術を始める準備をする為、数十秒会話を止める)――・・・そこに居るのか?」
と云って、まだ膝まづいているのか確認する。
「は、はい、控えております」
と云うことで、今回は息子さんに憑いている、この怨霊を最後とし、死に至ったキズを治してやる事にした。
後、とり憑いている怨霊が何怨居るのかは定かではない。
が、今後の事についてはご相談者であらせられるお母さんが考える事であろう。
両手を動かし治療を初めて数分、
「アアアアアアア・・・・アアアアアッ、アアア、アウー・・・アアーッ!!」
とひと際大声をあげて、最後に呆気なく消えて逝った。
終わったのだ。
前世では、最初の百姓から幾多の殺人を犯していたのだろうか?
それも地獄の淵で首を吊られる程になっていたとは。
しかし、今では、もう調べる事もない、前世ではヤクザ、或いは侍クズレ。
一体何を生業としていたのか?
それも謎のまま、どちらにしても着流しで町中を暴れ廻っていたのだろう。
がもう少しで地獄に落とされる筈だったのだ。
その一歩手前で只野オトコは救われた。
母親の予感で息子さんは助かったのだ。
母親にも、数多くの怨霊が憑いていた(途中で天国の入口まで引き上げたため正確な数字は分からない)が、その母親に勝るとも劣らないようだ。
これまでは、地獄の淵に落とされている魂を、唯―救う方法として天国の入口まで引き上げる事しか出来なかった。
だが、今は、どこにでも移動させる事ができるようになった。
所謂、霊的能力の賜物だ。
次回続く