![メラメラ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/037.gif)
![メラメラ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/037.gif)
・・・体から押し出す方法を考える。
次回続く
1,2時間で出るような霊(悪霊も含む)なら背中を軽く3回叩く程度で良い。
だが、この化け物はそう簡単には出ないだろう。(過去の経験上容易に察する事ができる)
と思い、正座のような座らせ方をさせる。
そして、上体を起こし背中を叩くのではなく、遠心力を利用して、頭と肩を持ち、まず、頭を前に押し出し、そして引くを繰り返す。
で、押し出す時には素早く1,2,3、と掛け声と共に押す。
この繰り返しを数回行い、ご相談者の体から放り出すと云うやり方なのだ。
この方法は前回、地獄からの逃亡者に対して行い成功している。
だからあえて同じ手を使ったのだ。
だが、今回は同じ方法で3回繰り返しやったが上手くいかない。
そこで、
「お前、本当に出る気あるのか!」
と一喝する。
と、にやにや笑いだしたのだ。
これまでのやり取りは演技だったのか?
「くそっ!お前はもう二度と出さん、破壊じゃー!!」
と言い、完全に破壊する事に決めた。
死に掛かっている筈なのに、まだ嘘をいい騙すとは大変な化け物だと改めて思わざるを得なかった。
もはや破壊するまでエネルギーの照射をやめる事は出来ない。
私自身体力の限界に近づきつつあるため、このような化け物の甘言に乗ってしまったのだ。
少しでも楽をしようとした結果だ。
だが、もう既に化け物は最後の死力を振り絞っているのだろう。
正座のような恰好だが足首を左右に出し(女性特有の座り方)頭はガックリと下げている。
顔を覗くと瞼は閉じてはいる。
が眼玉は忙しく動き回っているのが分かる。
私の中の、化け物の念に対し鏡に向かってエネルギーを発している、が以前あった反応は殆ど無くなって来た。
「どうだ、もうお前は終わりだな?」
と告げる。
と、私の首をほんの少し、
”はい、そうです”
とでも言いたいのだろうが、頭を下げる動作しか出来なくなっている。
ご相談者の眼は、先ほどと同じで閉じてはいるが目玉はめまぐるしく動いている。
既に化け物の意識は遥か遠くに去っていったのか、ない。
故に、化け物の影響を受ける事なく、私の指示に従い静かに眼をあけた。
これまで眼を閉じて大声を出し徘徊していたのが嘘のように静寂が戻っている。
大丈夫ですか?
と尋ねる。
すると、うん、と頷く。
がさすがに疲れを隠す事はできないようだ。
何しろ5時間も耐えていたのだから。
その間に目まぐるしく動き回りひと時も休む間を与えられなかった。
そして、ソファーの木枠や衝立、窓枠と色々な箇所に頭や顔、手等をぶつけたりもしていた。
危ないと気にはしていた。
が、それでもかなり衝突はあったようだ。
がこれで10数年間、心や肉体を自在に操られていた呪縛から開放されたのだ。
”ハァ~ハァ~”と肩で呼吸をしているように大きく体が上下している。
「まだ他に何か居るような気配を感じませんか?」
とお聴きする。
と
「いや、もう何も感じません・・・」
と自分でも化け物の気配が消えた事を自覚したようだ。
だが、化け物が消えた今も同じ姿勢のままだ。
右手を床に付き、上体をやっとの思いで支えるように踏ん張っている。
ゲンナリと頭を下げたまま起き上がる気力も失せたようだ。
その姿を見るとこれ以上話しかけることなど出来るものではない。
これからゆっくり休む事が唯一の快復への近道だろう。
十数年間束縛されていた日々を一日も早く取り戻せるよう頑張って頂きたい。
が、私も疲れた、もう二度とこのような化け物とは対決したくはないですよ、と父親に呟いてしまった。
そして、昨日の疲れも覚めやらぬ今日、化け物退治を済ませたご相談者から元気な声でお電話が入る。
次回続く