この作品は 一風変った構成になっている。

加賀百万石の前田家の分家筋に当たる「加賀大聖寺前田家」の一族のことが
3章に渡って描かれていく。
時代は江戸末期~明治~大正~昭和~平成

第一章   てんさいの君
第二章   プリンセス・クタニ
第三章   華族女優


「てんさいの君」  

加賀藩主と側室の間に生まれた「勇(いさ)」の生涯が描かれていく。
のんびりした加賀の地を離れて 江戸へと嫁ぎ
夫や子供 跡継ぎなどに次々先立たれながらも
強く生きていく明るい勇の姿が描かれていて
あまりどろどろした部分はないので
さらさらと読んでいった。
勇の おつきの「蕗野」の存在が頼もしい。



「プリンセス・クタニ」

明治半ば パリで生まれた「万里子」は
江戸時代であったなら 小松藩のお姫さまであったので
日本に帰国してからは 学習院に入り
華族(子爵)家の一員として暮らしている。

学校で新華族と呼ばれる 峰山美子と友人になり
その家族とも親しくなったことで 彼女の人生は
変っていく。
このとき 峰山一家が暮らしていた洋館は
次の第三章にも 登場してくるのだった。


花音子は 伯爵家のお嬢さまであったが
没落し 学習院に通いながら
ショーの踊り子としてデビューする。

やがて 母から受け継いだ 音楽の才能を認められ
女優として活躍するようになる。

第一章で登場した 小松で作られた「てんさい」の描かれた大皿が
ここでも登場してくる。


お姫さま~華族~という夢のような世界に
するり~と入り込んで楽しむことができた。