日刊スポーツの記事から、根本康弘調教師の回想

『勝負に絶対はない一方で、出なければ絶対に勝てません。根本師は自身の現役時代の思い出を引き合いに出して振り返ります。46年前の77年、ローヤルセイカンと臨んだ日本経済賞(優勝馬グリーングラス)です。当日の1R騎乗後、メインレースまでは騎乗予定がなく、調整ルームの風呂場で汗を流していたときのこと。“汗取り”に来ていた吉永正人騎手に声をかけられたといいます。「あんちゃん、何に乗るんだ」。
 まだ、デビュー1年目。初めての重賞騎乗を控えた根本騎手は「日経賞です。出るだけですよ」と答えました。勝負の世界に参加賞はありません。出るだけ-。その心構えが先輩騎手の逆鱗(げきりん)に触れました。「出るだけなら乗るな。俺はそのレースに乗っていない。乗れない俺は絶対に勝てないんだ。そういうつもりなら、乗るんじゃない」。勝ち負けの大前提には勝利への意欲があります。結果は5位入線後に失格となりましたが、プロとして大事なものを教わったといいます。
 全ての馬にチャンスがある。実体験として、根本師は知っています。皇帝シンボリルドルフをギャロップダイナで破った85年天皇賞・秋です。単勝1・4倍の1番人気馬を、単勝88・2倍で13番人気の伏兵がレコード(当時)で倒す。以前、同師は「場内がシーン、となってその後はファンのどよめきだよ。歓声なんてなかったな」と、ゴール後の異様な雰囲気を語ってくれました。ファンも、乗っていた本人さえも、まさかの思いでした。』

 

先輩に諭されたことに現実で応えた根本康弘調教師が、ジャパンカップに送り出すのが、ウインエアフォルク、鞍上を託すは藤田菜七子騎手。

 

ダービーでは、もしかすとの騎乗がかないませんでしたが、今度は現実になるか。

 

居並ぶ強豪と共に走る東京競馬場は、またとない経験の場。

走れウインエアフォルク、追え藤田菜七子。