1970年代~80年代、戦後昭和真っ只中の中央競馬の、
重賞競走以外の一般レースでは、
出走馬がパドックから地下馬道を抜けて本馬場に姿を見せる時に、必ずこの曲が流れていました。
この曲が流れると、パドックから本馬場へ人も移動します。
レイモンド服部 作曲の『若駒』です。
東京競馬場も中山競馬場も今のスタンドになる以前で、
競馬がオジサン・パラダイスであり、ちょっとばかり日陰の存在で、
赤鉛筆と競馬新聞を片手に耳に百円玉を挟んだオッサンが其処此処にいて、
大川慶次郎が『競馬の神様』と呼ばれ、
寺山修司が『競馬は人生の比喩ではなく人生が競馬の比喩である』と語り、
関西テレビ・杉本清アナウンサーの実況に聞き入り、
競馬中継の最後に『主催は日本中央競馬会でした』とアナウンスが流れ、
中央競馬会のキャッチフレーズが『楽しさは一家そろって中央競馬』であった頃。
オッサンは、この曲と共に郷愁にひたるのであります。
少年老い易く学成り難し。
若駒走り去り想い出の彼方へ。