札幌、神戸など、地方の大都市で長く続いている喫茶店には、まだまだ喫煙スペースが珍しくありません。

 

タバコとの別れから四半世紀が過ぎ、煙草の匂いを敬遠しがちな今日この頃ですが、

昭和の頃には紫煙をくゆらす粋な脇役も、今や悪役に。

 

とある喫茶店の扉をあけると、ほのかに煙草の香りが漂ってきます。

地方都市は空気が澄んでいるからでしょうか、どこか懐かし気持ちに誘われます。

 

見れば、其処には昭和から時間が止まった風景が目にとまります。

オジサンが競馬新聞を広げて、煙草をくゆらせながら、赤鉛筆片手に予想の真っ最中。

右の耳に赤鉛筆、左の耳に煙草を挟む二刀流。どうやら二刀流だけは令和です。

机の上には、大理石を模した重々しい灰皿と、一点豪華主義の卓上ライター。

いや~、正に昭和ですな~。

 

ひとまず予想もけりがつき、いざ出陣と、くわえタバコで腰を上げる昭和オジサン。

清算するレジから店内にひびく電子マネーの決済音。

 

昭和に徹するならば、ここは現金払いで締めていただきたいところですな~。

『つりはいらない』とまでは期待しないまでも。

 

昭和真っ盛りの高校時代に習った『画竜点睛を欠く』とでも言いましょうか、

最後の最後に残念な結果と相成りました。

 

画竜点睛を欠くと言えば、飛行場で見かけたちょっと強面のオジサン、

ダークなストライプ柄のダブルブレスト・スーツに輝くエナメルシューズ、サングラスに今や珍しいパンチパーマ、指には金の指輪、そして金のブレスレットに金のネックチェーン、泣く子も黙るその姿に、キャスターバックは、画竜点睛を欠きますな~。

 

ここは、重かろうが何しようが、アタッシュケースかボンドカバンではないでしょうか。

007・ジェームス・ボンドが、キャスターバックをゴロゴロさせたんじゃ様になりません。

大木凡人ならいざ知らず。

 

とまあ、ご本人はさておいて、勝手なことをのたもうている昭和なオッサンなのであります。