新型コロナウィルスの感染防止のため競馬が無観客で開催されています。
少しばかり元気のない人間、いつもと変わることなく走り続ける競走馬。
これとは反対に、
約半世紀前の1971年暮れから1972年2月にかけて、
競走馬のインフルエンザ流行の影響で、競馬開催が中止になったことがあります。
開催中止直前の1971年12月19日、メインの第9レースは、第16回有馬記念。
9頭立ての中で1/3の3頭が出走を取り消して6頭立てとなった異例の有馬記念に優勝したのは、天皇賞に続いて小柄な牝馬・トウメイ。
430Kgの華奢な牝馬が牡馬を向こうに回して天皇賞・有馬記念を連破したとなれば、
今ならもっと賞賛されたでしょうが、当時の競馬はどちらかと言えばマイナーな存在であり、
更に競走馬のインフルエンザで競馬が開催中止となる直前の混沌とした時期と重なり、
今ほどの話題とならず時は過ぎて行きました。
それでも1971年の年度代表馬には、小さな牝馬トウメイが選ばれました。
トウメイは3歳~6歳(今の表記では2歳~5歳)の間に、
現代競馬では考えられない31戦もして16勝という成績を残しています。
4歳(今の3歳)後半の半年以外は、ほぼ毎月レースに出走し、
優勝した重賞競走は、
京都4歳特別、マイラーズカップ2回、阪急杯、牝馬東京タイムズ杯、天皇賞、有馬記念、
1600m戦から3200mの天皇賞まで、ローテーションや距離に臆することなく走り続けました。
地味で目立たずとも、自らの道をただひたすら黙々と走り続け、栄冠をつかんだトウメイ。
インフルエンザにより、その偉業が忘れられがちですが、昭和最強の牝馬の一頭でした。
競馬への人の想いがドラマとなり、人それぞれの心に残ります。
知ってか知らずか、ただひたすらに駆け抜けて行く競走馬たち。
無観客競馬を見ながら、ふと半世紀前の競走馬インフルエンザにより開催中止となった競馬を思い出しメモいたしました。