いにしえに三波春夫さんが、お客様あっての歌手、お客様を大切にする言葉として、『お客様は神様です』とおっしゃっていました。今でも時々どこかで聞くことがあります。

 

三波春夫さんは、真摯な姿勢、人知れずさりげなく世の中に貢献していたことなど、尊敬することはあっても、忌み嫌うことの無い昭和の大人物です。

 

しかしながら、『お客様は神様です』という言葉には、何か違和感を感じていました。

その感じているものの正体を今日つきとめることができました。

それは、サービスはホテルに学べ(富田昭次著 光文社新書)を読んでいて気が付いたのです。

 

 

そこには、サービスは一様なものではない、答えは一つではないと書かれており、たとえマニュアルがあったとしても、あるお客様には満足いただけても、他のお客様には満足いただけないということもある。サービスとはとても一筋縄ではいかぬものと捉えています。
そして、ホテル利用者のコメントの中に『ばかていねいなだけだと、かえってばかにされたような気がする。』とありました。

 

正にコレなんです。神様でもない同じ人間同士を神様と言われてしまった時に感じる違和感はおそらくこの感覚とつながるものがありそうです。

 

ファーストフード店のマニュアル通りの接客に何となく好感が持てないのも同じことかと思います。

 

また、こんなコメントもありました、『従業員がその職場で誇りを持って働いているのを見るとまた泊まってみたいと思う』

 

更にこの本では、『愛された人間は必ず人を愛する、企業に愛された従業員は必ずお客様を愛するようになる、企業はお客様と直に接する従業員の満足を考えることが重要である』とも書かれており、従業員第一主義を説いています。

 

お客様と接する最前線の従業員がいきいきのびのびと経験を重ね自ら考え行動することが本当のサービスを極め、好感をもたれるようになって行く下地となっているのです。

 

正にお客様が満足すること、お客様が笑顔になること、それが生きがいになることが、サービスの本質・神髄なのでしょう。

 

やはり、号令一喝、マニュアル通り、一糸乱れぬ内部統制、短期的視野、成果主義、こんなことからは本当のサービスは生まれるはずもないのは自明なことようです。