FLOWER/木原 音瀬
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「FLOWER」 木原音瀬 ★ネタバレあり★

ええ。もう「FLOWER」については何度も何度も申し上げてまいりましたが。

大好きで、大好きで、何度も読み返しては大泣きしております。

鬼畜根性悪医者「谷脇」が、もう理屈抜きで好きということもありますが、もう「松本」の「谷脇」への「愛」、「愛し方」ですね、それが切なくて切なくて堪らないのですよ。

なのでね、今回のSS、書き下ろしがとても楽しみであり怖かったのです。

新装版「WEED」の書き下ろしを読み、今回の書き下ろしを読むと、本編とは視点を変えてあるわけです。


「FLOWER」本編では人の心を平気でおもちゃにする「谷脇」の視点でしたが、書き下ろしはそのおもちゃ・「松本」視点でした。


「松本」、わかる、わかるよ!!あなたの気持ち!

どれだけ浮気されても、実のない上っ面の優しい言葉を並べられても、おもちゃにされてもそれでも「谷脇」を愛したあなたの気持ち。

自分が一番愛した人から、まるで価値の無いような扱いを受ける悲しさ寂しさは、もうなんと表現していいのかわからない。

自分の立っている足元から、暗闇に落ちてゆくような虚無感があるよ。

でもね、だからといって自分が無価値であるわけがない。

けれどもね、それはわかってても、愛した人の何者にも代え難い存在になりたいよね。

求められたいよね。

だから愛されない自分に意味は無いと思ってしまう・・それはどうしたって拭いきれないよね。

わかる。


「松本」がとうとう自分の本心を何も告げずに逝ったことは、彼の最後のプライドと矜持だ。

もうそれしか「愛すること」の貫き方がないよな。

もうねえ、ワタシあんまりにもシンクロしすぎて、冷静になれない。

「いらない」存在なんてない。「いらない」とされた自分でも、どこかで必要とされることがある。

だけど、それではダメなんだよね。

もうそれは理屈じゃない。

号泣。