“堂場瞬一” 『独走』、book | No pain!,No gain! by #15K.U

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“まかぬ種は生えぬ” “労なくして益なし” “痛みを持って陣地を得る”
2012/06以降、継続的な“run” や“trailrun” に目覚めた事と
高校・大学でのRugbyの記憶がcross overする。そして、
OVER50でこれからも“pain”&“gain”の人生でありたい…



“堂場瞬一” 『独走』


私にとっては “警察小説” というより、

ラグビーや駅伝・マラソン・水泳といった “スポーツ小説”

の印象がとても強い作者です。

このジャンルの作家は少ないので、

スポーツ好きの私としては、貴重でありがたい作家です。。。


本作も陸上選手として、

スポーツ省(架空)から特別指定強化選手 (SA)

最高ランクである S として指定を受けた、

5千・1万㍍といった中・長距離の高校生有望ランナーの

己の理想と突き付けられる現実に揺れる苦悩の話です。。。


ただ、純粋にスポーツ強化というより、

国威高揚のため国策としてオリンピックでの

“金メダル倍増計画”
に基づく、

政治的策略という感じです。。。


そこには、

キャリア官僚の貪欲な出世争いに体よく利用される

選手やパートナーやコーチや一般人(友人)などの心の葛藤が、

現実(生活やお金)と理想(自由や夢)との間で、

生々しく描かれています。。。


どこまでがフィクション?で、どこからがノンフィクション?

なのか、

どの程度の事実をデフォルメ?してあるのか、

私にはよく分からない部分もあります。

しかし、スポーツに対する国際的趨勢や

諸外国のメダルへの高額な報奨金や

アマチュア賞金レースの増加などを考えると

日本でも近い将来、

もしかすると現在も国家機密として、

これらに近い施策が取られているのかも知れません。。。


なんかスポーツの政治的利用であり、

一昔前(今も?)の社会主義国の安直な国策という

感じがします。

小さい時から特定の競技に特化させ、

選手一個人の人間性よりも国策優先で、お金で自由を剥奪し、

怪我や伸び悩んで脱落する選手は容赦なく切り捨てる。。。


こんなんでは、

スポーツ本来の楽しさや勝利や記録に対する喜びは、

生まれて来ないんやろうなぁ~と、安易に想像できます。。。


また選択と集中という意味では、

プレイヤーの多いチームスポーツは、

費用が多く掛かる割りに取れるメダルは1つだけで、

陸上や水泳や体操などの個人競技は、

団体競技に比べて掛かる費用もグッと少なく、

スーパースターよる複数メダルの獲得も可能なわけで、

政治的利用や個人の思惑に対する効果は断然上です。。。


こんな風にスポーツがセグメントされると観ている方も

楽しくないですよね。。。


個人的には、

 S ランクや A ランクに指定されなくて良かったです。。。^^



  • ステート‐アマチュア 【state amateur】
    国家が養成するアマチュアのスポーツ選手。
    ステートアマ。→カンパニーアマ







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