【酒擬人化SS】ヴァイツェン | よくいる普通の主婦が時々コスプレイヤー

よくいる普通の主婦が時々コスプレイヤー

コスプレイヤーなるとれもんの育児日記とコスプレ日記時々ハンドメイド。
育児も、コスプレも、2児の母としても、主婦としても
女性としても輝けるように毎日ぼやんと考えながら頑張ってます!!

前から構想していた、酒擬人化のお話し。
厨二病。誤字脱字は、優しく見守ってください。

キラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラ


そこは都会の喧騒の中にひっそりと佇む、bar「 Heart of lemon 」。煉瓦の外観に白い木製のドアが、店の上品さを漂わせている。
開店の時間は決まっていない、夕焼けが終わり、夜が始まる頃にこの店は、始まる。
ーーーー

ドアを開けると、チリンチリンと小さく心地よい音がした。  
「いらっしゃいませ」
少し白髪の混じった髪を後ろにながし、薄い眼鏡をした店主は、優しい笑顔でカウンターの内側でグラスを拭きながら、向かい入れてくれた。

「お好きな席へどうぞ」
そう店主に言われるが、初めてBarという所に来た彼は
どうしたらよいかわからず、キョロキョロしていた。

「カウンター、いかがですか?」
そう言われると、そうしたほうがよいのかと思い、店主が手を置いている席に座ってみることにした。

「こういう所は、あまり来られませんか?」
優しいゆっくりとした口調に、気持ちも落ち着いていくのがわかる。
自然と話していた。
今の自分を変えたいと思い、とりあえず行ったことのない場所に行こうと思ったこと。平凡な毎日、同じことの繰り返し、当たり障りのないことばかりしてきた、ただ周りと同じことをして、いつのまにかいてもいなくてもいいような存在になっていた自分が、とても悔しく情けなく、腹がたった。
彼は手をギュッと力強く握っていた。

コトリ、目の前にジョッキが置かれた。
「これは、いかがかしら?あ、わたくしヴァイツェンと申しますの。」
突然女の声がしたので、彼はビクッと顔をあげた。
そこには金髪のなにやら普通ではない格好をした女がいる。



「え・・・・・えっと・・・・」
頭が混乱した。店主の姿は見えないし、店の雰囲気も変わっている。
「大丈夫ですわ。あなたがさっき入ったお店に間違いないですし、変なことはいたしません。」
ニコッと微笑み、どうぞとビールを進めてくる。
動揺を隠すように、ぐいっと口に運んだ。
「!・・・・・これは、ビールですよね?」
いつも居酒屋で上司をおだてながら飲むジョッキの味とは全く違い、なんとも言えない優しく心地よい甘い香りがした。
「ええ、ビールですわ。ただ、これは白ビールって言うんですの。同じビールでも、味が違いませんか?」
こんなビールは、飲んだことがなかった。
仕事帰り、いつものコンビニでいつもの場所から買っているビールとは、違った。
「同じ味に慣れて、それに心地よさを感じるのも悪くはありません。でも、時々こういうのも悪くは無いでしょう?」
彼は軽く頷いて、ぐいっと残りの白ビールを飲みほした。

「わたくし、いつものビールの隣に時々います。」




ジョッキを下ろすと、店の雰囲気が元に戻っていた。
店主は、後ろで机を拭いている。
「あ・・・・・あの」
と、話そうとすると
「ヴァイツェンっていうのは、ドイツ語で白ビールなんですよ。」
「え・・・・・・」
なにが起こったのか全くわからない彼に店主は続けた。
「当店は時々お酒の精霊さんがお客様を選ぶことがありましてね。そういう方から、お代は頂かないことにしているんです。」
ふざけた回答に彼は反論する気も起きないし、もしそうだとしてもこんな怪しい店からは早く出なくてはと思った。
1000円を置いて、ごちそうさまでしたと軽く会釈し店を後にした。
ーーーーー
帰り道、何となくいつものコンビニにはよらずにスーパーのビールコーナーに行ってみた。
いつもの銀色の缶に手を伸ばそうとしたとき、あの女の言葉を思い出し隣を見てみる。
そこには今まで視界にすら入ったことのないビールがたくさんあった。彼はいつものビールをやめ、白ビールと表示されたいくつかの瓶や缶から一つ選び、家路についた。何かワクワクした、新しい気持ちで・・・・・・・

ーーーーーーーーーーー

「1000円は高いですわね。」
「ヴァイツェンさんのお酒が美味しかったのでは無いですか?」
「そうね」
「それか、その格好なので何かと勘違いされたか」
店主の眼鏡が光る。
「うぅ・・・酷いですわ!スタウトちゃんのほうが、それっぽいですわよ!」
「ちょっと、ヴァイツェン聞こえてるよー」
「あ・・・・・・・・・・良い意味ですのー!」
「・・・今、考えたろー」
「はいはい、喧嘩はやめましょうね瓶に戻って寝る時間ですよー」

ーーーーーーーーー

夜が終わる前に、そのBarのドアにかかっているプレートはcloseにかわり、静かに次の開店の時間を待ちはじめる・・・・。


おわり