6年前の1月、私の父は亡くなりました。

私が26歳のとき、結婚する前の年のこと。


父は中学卒業してすぐ九電工に入り、それから独立して電気工事士として自営業で家族を養ってくれました。


九州男児の代表のような人。

とても頑固で無口で職人気質で
家ではいつもむすっとしていてあんまり笑った顔を見たことがありませんでした。


ある日の夕方、仕事から帰ると、
いつも食卓に座って夕飯を食べているはずの父がいない。


「お父さんは?」


母に聞くと一瞬止まったような顔をして、


「お父さんね~ちょっと入院することになったとよ。」

「え?!なんで??」

「ちょっと軽い胃潰瘍って~」

「え~そうね~」


その日から父は入退院を繰り返し、
たった半年でこの世を去りました。

命ははかない、というかっこいい言葉よりも
命はあっけない、そんな感じ。



父の病気は本当は胃潰瘍ではなく、
末期の胃がんでした。

でも私が本当の病名を知ったのは
父が亡くなる1週間前。


このとき私は教員を目指していて、
毎年採用試験を受けていたので
母が心配させまいとウソをついていたのです。


だけど本当は気づいていました。


どんどんやせていく体、こけていく顔、
妊婦のように膨れ上がるお腹、抜け落ちる髪、


ネットで調べて、
お父さんガンかもなぁとひそかに思っていました。



「この冬が終わって春になって暖かくなったら、お父さんも元気になるかもねぇ」


とよくつぶやいていた母。

だから毎年1月の寒い風が吹くと、6年前のことをフと思い出します。

だから冬があまり好きではありません。

好きじゃないなら子どもたちと楽しい思い出をたくさん作って上書きすればいい!!と思って過ごすけど、
そこは上書きされることなく、全然別のとこに静かに眠っています。


亡くなる一週間前、
父は意識朦朧とした状態が続きました。


話しかければば大体誰かは分かるけど、
それ意外は眠っているような状態。


あーもう危ないのかもなぁ、、


横たわる父を見ながらいろいろ思うことがありました。


私が興味をもってやりたいことはほとんどやらせてくれたこと。

部活の試合にはいつも必ず応援に来てくれたこと。

高いお金を出して進学させてくれたこと。

何より今日まで一生懸命働いて、家族を養ってくれたこと。



全部ぜーんぶに「ありがとう」と言いたかったけど、
なんだか言いだしにくかった。


父に自分はもう長くないんだなと思わせたくなかったし、
私も、いやまだよくなるかもしれんし!と思いたかった。




そして結局最後まで言えませんでした。




1月14日
父は母と2人きりのときに静かに息を引き取りました。



葬式の途中、遺影を見ながら思いました。



お父さんは後悔はなかったのかなぁ

やり残したことはなかったのかなぁ

お父さんのこの世での役割はなんやったんやろう



そんなことを考えていると


いつか私もこんな日が来るんだな
と漠然と、でもはっきり感じました。



私は自分が死んだときにどんなことを思うんだろう?

やりたいことやれたな~とか

あれしとけばよかったな~とかいろいろ思うのかな。




死ぬときに後悔だけはしたくないな。




じゃあどんな生き方をしていこう?



命が0になったときどんな自分でいたいかな?




父の死と私の生。

いろいろいろいろ考えました。





父が亡くなってわかったこと。


人の死はドラマのように綺麗ではないということ。


人の痛みやつらさは分かってあげようと寄り添うことはできても、
分かってあげることはできないということ。


最後の最後になると言えなくなることがあるから
言いたいことは日ごろから言っておいたほうがいいということ。


大好きとかありがとうとかこっぱずかしいこともバンバン言ったほうがいいということ。


聞きたいことがあるならさっさと聞いておいたほうがいいということ。


どんな人も次会うときはもうないかもしれないから、
別れるときは笑顔で別れたほうがいいということ。


人は生まれるときも死ぬときも1人で、
それは寂しいとかそんな話ではなくて、それが現実だということ。



私もいつか必ず死ぬということ。


だから「今」を一生懸命生きたほうがいい。


「今」「今」「今」の連続でできる私の未来。


だから私は自分がやりたいことをやって生きて、死んでいきたいのです。
それは刹那的な楽しさではなくて、
本当に腹の底から私の魂が喜ぶことをやっていきたい。


そういつも思います。



と、こんな湿っぽい文を書いていたら
母から電話。

用件を言った後、

「今日お父さん命日よね?」

「え?」

「お父さん命日やろ?」

「は?」

「あー!そうやったそうやった!
すっかり忘れとったー!お父さんごめーん!あっはっはーー笑」


遺影を見て呆然としていた母は
もうどこにもいない 笑

母は強し女は強し!




私の人生もあなたの人生も
キラキラ輝くものでありますように。