大阪湾の水質汚染の一因になっている海底の巨大くぼ地を埋め戻して水質改善を図る試みに、大阪府が国土交 通省などと協力して乗り出したことが11日、分かった。人工島の造成や建設資材用に海底の土砂を採取した後に残ったくぼ地は、海中の魚介類を大量死させる 青潮の発生源とされる。放置すれば環境破壊につながる恐れもあるといい、埋め戻しが水質改善にどの程度の効果があるか実態調査の結果が注目される。

 ■都市開発“負の遺産”ドーム球場27杯分

  大阪湾には、高度経済成長期以降の都市開発に伴い土砂を掘削したくぼ地が大和川以南を中心に21カ所存在。削り取られた土砂の総容積は、京セラドーム大阪 約27杯分に相当する約3200万立方メートルに上るとされ、湾内最大の「阪南港4区沖」のくぼ地は約1350万立方メートルで、周囲の海底に比べると約 10・5メートルも深くなっている。

 府環境農林水産総合研究所水産技術センターによると、くぼ地に堆積(たいせき)したプランクトンの 死骸(しがい)をバクテリアなどが分解する際に水中の酸素が消費され、硫化物が発生。台風などで海水が混ざり、このよどみが海面に浮かび上がって青白くみ えるのが青潮で、大阪湾では年に2、3回発生し、魚介類の大量死をもたらす。

 府は平成18年からくぼ地の水質や生物の生息状況、周辺環境への影響調査や埋め戻しの方法について、近畿地方整備局や兵庫県などと対策を協議し、今年8月に計画をまとめた。

 計画では、船舶の往来の頻度、漁場や魚の産卵場としての価値などをもとに、21カ所のくぼ地を3段階に格付けして分類。格付けの優先順位の高いものから埋め立てることにしている。

  このうち、クロダイの産卵場に近い堺市沖のくぼ地では、大和川の浚渫(しゅんせつ)工事で出た土砂を使って既に埋め戻しを開始しており、来年1月までに約 12万立方メートルの土砂を投入する予定。府では、このくぼ地の実態調査で環境改善効果がみられれば、ほかのくぼ地についても順次、埋め立てを進めていく 方針。

 こうした青潮対策は、過去に大きな被害が出た東京湾や三河湾でも行われているが、大阪湾ではすべてのくぼ地を埋める土砂の確保は 難しいのが現状で、今後は土砂をいかに確保するかも課題。府は「くぼ地の部分修復をはじめとするあらゆる対策を検討し、大阪湾の水質浄化につなげたい」と している。